So-net無料ブログ作成
検索選択
前の30件 | -

公益財団法人化から落ちこぼれそうな楽団 [音楽時評]

日本の法人制度が改正され,単なる財団法人ではなく公益財団法人化しなければ,税制上の優遇措置が受けられなくなるそうで,その更新期限が2013年秋に迫る中で,公益財団法人の要件を満たせない状況で危機に陥っているオーケストラが存在します.

要件として,
(1)負債をかかえていないこと,
(2)過去2年間健全財政を達成していること,
(3)最低300万円の基本財産を有すること,
が上げられているのです.

ここでは東京メジャー・オーケストラに限っていいますと,その要件を達成できなくって,危機を公然と公衆に訴えかけている楽団に,老舗の「日本フィルハーモニー交響楽団」が上げられます.

下表に,日本オーケストラ連盟が公表した2009年度の収支状況を表示しておきました.
いわゆる御三家という表現が,なるほどと思わせますし,東京フィルハーモニーが合併して国立劇場のピットに入る回数が増えて,一挙に,演奏回数やそれに見合う収入が増大しているのが分かります.
それにしても,創立が1956年の日本フィルハーモニーが,1972年に分裂していった新日本フィルハーモニーがいち早く達成した公益財団法人化に大きく遅れを取ったのは何故なのでしょう.御三家はもとより,東京フィルハーモニーも既に公益財団法人化しています.

下表で見る限りは,日本フィルの収支は黒字化しています.しかし,楽団のアピールを見ますと,累積債務が2億円(なぜそこまで膨れたのか説明がないのですが)に達しており,このデフレ下でそれだけの寄付を募るのに大きな困難が生じているようです.
しかし,首席指揮者ラザレフのもとに,この9月からブザンソン指揮者コンクールで優勝し,今後の大化けが期待される新鋭の山田和樹を正指揮者に迎えることが決まっていて,演奏の充実が期待されています.

私が,傍から見ていて,感ずることは,せっかく富裕区の杉並区に練習場を確保しながら,そこの定員1100人を半端な数として,新日本フィルハーモニーが墨田区トリフォニーホールでやったようなフランチャイズ化を徹底しなかったことが,今の浮草稼業に現れているように思われるのです.
今からでも,第1に,きちんと毎月2回の杉並定期を設けて,杉並区民を安価に会員化すれば,2回共満席に近い状態にすることは可能だと思いますし,第2に,他のホールでやる定期の最後のリハーサルを同じく区民中心にワンコインででも公開リハーサルとしてやるようにすれば,杉並区からの会員数は数10%は増やせるのではないでしょうか.
提案の根拠は,下の表で一番目立つのが,他のメジャー・オーケストラとの比較で会員数が大きく見劣りするからです.

私には1956年発足という歴史に胡座をかいていたことが,背景にあるように思われてなりません.
外部に支援をアピールする前に,アメリカのオーケストラがやったような賃金・ボナス・カット,人員削減の努力も求められるのではないでしょうか.支援アピールには,そうした内部努力の経過は何も説明されていないのです.

来年までの多大なご努力とそのご成功を祈ります.

 

団体名創立年公演数
(回)
会員数
(人)
総観客数
(人)
楽員数
(名)
年間収入
(千円)
演奏収入
(千円)
年間支出
(千円)
札幌交響楽団1961年1242,973161,42476 534,147 
仙台フィルハーモニー
管弦楽団
1978年11759886,90077881,287414,865899,071
山形交響楽団1972年1402,45083,50048404,193204,201421,213
群馬交響楽団1945年159802127,99768762,361209,588762,361
ニューフィルハーモニー
オーケストラ千葉
1985年       
NHK交響楽団1926年11110,015219,7101093,027,3081,269,5062,880,718
読売日本交響楽団1962年954,404134,435922,334,913526,8182,101,115
東京フィルハーモニー
交響楽団
1911年3203,787471,0001571,854,1621,504,0421,941,045
東京都交響楽団1965年1693,788199,868861,871,080755,6161,838,270
新日本フィルハーモニー
交響楽団
1972年1504,568224,725961,330,644986,6331,282,222
東京シティ・フィル
ハーモニック管弦楽団
1975年125331174,97562510,108412,874500,649
東京ユニバーサル・
フィルハーモニー管弦楽団
1973年13416785,05063126,528121,348127,793
日本フィルハーモニー
交響楽団
1956年1533,005196,878891,381,668967,8701,346,916
東京ニューシティ
管弦楽団
1990年128356100,00060321,970308,070314,612
神奈川フィルハーモニー
管弦楽団
1970年131955182,60970721,405379,380696,458
東京交響楽団1946年1673,431234,700931,295,2021,101,5481,373,957
オーケストラ・
アンサンブル金沢
1988年1282,667116,836321,096,009474,7431,009,852
静岡交響楽団1988年3820625,4505048,49742,61957,405
名古屋フィルハーモニー
交響楽団
1966年1242,828163,560771,186,930509,3991,217,333
セントラル愛知交響楽団1983年13532694,00046275,324217,507274,684
中部フィルハーモニー
交響楽団
2000年40 54,00043145,914107,519140,518
京都市交響楽団1956年95715110,00082 153,602 
京都フィルハーモニー
室内合奏団
1972年129186100,00016193,580175,874190,380
関西フィルハーモニー
管弦楽団
1982年11055091,00060491,400387,254491,152
大阪フィルハーモニー
交響楽団
1947年1141,374174,000771,027,664568,6971,066,809
大阪交響楽団1980年108231100,00054505,120379,757500,530
大阪センチュリー交響楽団1989年106771137,81645785,444253,579734,220
ザ・カレッジ・オペラハウス
管弦楽団
1988年38 29,31733 59,092 
兵庫芸術文化センター
管弦楽団
2005年1223,652160,00039759,057301,254759,057
広島交響楽団1972年10167793,44265715,893323,490705,716
九州交響楽団1953年120918106,00071839,825388,061899,314


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

サントリーホール:都響B定期小泉和裕指揮ルケシーニ(pf) [音楽時評]

5月14日,サントリーホールに東京都交響楽団B定期演奏会を聴きに行って来ました.指揮は小泉和裕,ピアノにアンドレア・ルケシーニが加わっていました.
なお,コンマスは四方恭子でした.

プログラムは,
ブラームス:  ピアの協奏曲第1番 ニ短調 作品15
       ※※※※※※※※
ラヴェル:    「ダフニスとクロエ」 第1,第2組曲
でした.

ブラームスのピアノ協奏曲は,ブラームス最初の管弦楽曲といえますが,ピアノ・デュオ→交響曲→ピアノ協奏曲と変転の末完成した作品です.その経緯を辿る資料は消失しているようです.
恩師シューマンの自殺未遂,2年に渡る入院生活の後の死という背景,そして未亡人クララへの激しい思慕が重なり合った時期の作品で,懊悩と煩悶、激情といった、後年のブラームス作品には見られない表情が顕著に見られます.
この曲にはオーケストラとピアノを拮抗させようとした意図が見られますが,当初から「ピアノ助奏つきの交響曲」という指摘が多かったように、同時代,同ジャンルの曲に比べて内容が重く,ピアノが目立たないという異例さが目立ちます.また、成熟期の作品に比べ,管弦楽法が未熟で、とりわけ楽器間のバランスに問題があるなどの欠点を抱えた作品です.
しかし,現代では,ブラームスの初期を代表する傑作として評価されています.
第1楽章 Maestoso ニ短調  カデンツァなし,
第2楽章 Adagio ニ長調    終結部に短いカデンツア
第3楽章 Rondo: Allegro non troppo ニ短調   2つのカデンツァ
という構成ですが,長さは第1>第2>第3というちょっと変わった構成です,

今夜の演奏は,タダでさえ長い第1楽章 Maestoso を第2楽章Adagio と区別が付かないほどユックリ入ったことに問題があったと思います.そこではピアノがオーケストラの第1主題そして副主題を経てようやく登場するのですが,それまでのテンポが嫌でもピアノを引きずってしまった感じでした.
第2楽章では,シューマンを悼んだと思われるミサのベネディクトスの1節が楽譜に記されており,深い宗教的気分が支配する静謐な緩徐楽章なのですが,第1楽章との差が目立たないほどテンポが連続してしまっていました.

幸い,第3楽章は,ピヤノの先導で入りますが,ルケシーニが一挙にテンポを早めて入りましたから,2つのカデンツァも加えて,まことにピアノ協奏曲らしく見事に終わりました.
しかし,全曲の演奏時間55分はいかにも長過ぎました.

ルケシーニはアンコールに応えて,シューベルトの即興曲作品90-2をまことに鮮烈に好演してくれました.

後半の「ダフニスとクロエ」は,オーケストラから音を十二分に引き出した好演だったと思います.

前半と後半の書き方がアンバランスになってしまいましたが,悪しからずご了承下さい.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Halle:マーラー「大地の歌」改訂版演奏 [音楽時評]

マーラーの交響曲「大地の歌」は傑作の評価が高いのですが,その冒頭部分のテナーの歌唱が非常に困難なことで有名です.But the opening song is one of classical music's most notoriously difficult passages for performers, thanks to the torrential density of its orchestration, which can overwhelm even the loudest of heldentenors in the concert hall. Mahler never heard the work live. Would he have revised it, if he had?

それは冒頭部分でオーケストラが大音響を出して,声量がたいへん豊かなテナーといえどもほとんど歌唱が掻き消されるという難点です.

曲は「大地の歌」というメインタイトルに続き、副題として「テノールアルト(またはバリトン)とオーケストラのための交響曲」(Eine Symphonie für eine Tenor und Alt (oder Bariton) Stimme und Orchester )とあり、通常マーラーが9番目に作曲した交響曲として位置づけられますが、連作歌曲としての性格も併せ持っており、「交響曲」と「管弦楽伴奏による連作歌曲」とを融合させたような作品なのです.
いわゆる「第9のジンクス(作曲家が第9交響曲を書くとそれを最後に亡くなる)」を避けたい意向があったと思われますが,交響曲とするからには,冒頭でオーケストラの力量が必要と考えられたのだろうと思われます.

しかし,ピアノ伴奏版も作曲されており,このオーケストラ版も,もしマーラーが実際の演奏を聴いていたとしたら,必ずや改訂を加えたのでは...といわれ続けてきたのです.

そして現実に, Mark Elder, who asked Colin Matthews to rescore the relevant section for a Hallé performance to mark the centenary of Kathleen Ferrier's birth. Purists might be alarmed, but it actually works rather well.

有名な歌手Kathleen Ferrierの生誕100年を記念した演奏会用に,イギリスのHalle Orchestra の Mark Elder が,作曲家 Colin Matthews に関係部分の書き直しを依頼したのです.
そして,その結果は結構上手くいったと書いています.

Matthews はオーケストラだけが鳴るところではオリジナルを尊重し,歌手Lars Clevemanが歌い始めるところではオーケストラの音色を和らげたというのです.声量のない歌手にはそれでも難しかったかも知れませんが,Clevemanにとっては十分声を隅々まで届かせることが出来たそうです.

しかし,The more refind sound brings with it a shift in tone,however, とこの編曲は音色に微妙な変化をもたらし,replacing existential terror with something more elegiac と,そこまで変化させかねない点への注意を喚起しています.

 

 

Hallé/Elder – review

Bridgewater Hall, Manchester

4 out of 54


Mahler's Das Lied von der Erde is, it is generally agreed, a masterpiece. But the opening song is one of classical music's most notoriously difficult passages for performers, thanks to the torrential density of its orchestration, which can overwhelm even the loudest of heldentenors in the concert hall. Mahler never heard the work live. Would he have revised it, if he had? There are some who believe so, among them Mark Elder, who asked Colin Matthews to rescore the relevant section for a Hallé performance to mark the centenary of Kathleen Ferrier's birth. Purists might be alarmed, but it actually works rather well.

Matthews has Mahler in his system, and this sounds like the real thing rather than pastiche. He retains the raucous original when the orchestra plays alone, but softens the palette whenever Lars Cleveman begins to sing. Matthews also keeps everything well within heldentenor territory; smaller-voiced singers may still, I suspect, have difficulty here. Cleveman, though, is able to roar comfortably at the song's nightmarish climax, rather than vanish into inaudibility.

The more refined sound brings with it a shift in tone, however, replacing existential terror with something more elegiac. This accords with Elder's reflective reading of the work as a whole, but might not work so well in more volatile interpretations. The Hallé did some exceptional things with it throughout – the woodwind solos in the final Abschied were particularly eloquent and unnerving. Alice Coote, who is tremendous in this work, was the mezzo soloist, living out the music with restrained but noble intensity. It was prefaced by Mozart's 40th Symphony, moodily done, with Elder allowing himself, and us, the luxury of every single repeat marked in the score.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

トッパンホール:シュ・シャオメイのゴールドベルグ変奏曲好演 [音楽時評]

5月11日,トッパンホールにシュ・シャオメイのゴールドベルグ変奏曲演奏会を聴きに行って来ました.

シュ・シャオメイは中国の上海生まれ,8歳で北京で演奏,10歳で北京中央音楽院に入学しながら,文化大革命でピアノ勉学を中断しなければならなかったといいます.しかし,彼女は、聴衆が彼女の苦難に満ちた経歴を知ることで、演奏会の目的が不純なものになることを懸念して,彼女はただ純粋に音楽だけを聴いてほしいと願っている,といわれます.ですから,私もこれ以上のことは書かないことにします.

ただ,文化大革命終焉後,最初,アメリカに渡ったのですが,教師に彼女のテクニックは認めながら,音楽性を認められないまま過ごし,1985年にフランスに渡ります.
そこでようやくパリ国立高等音楽院のある有名教授に演奏を聴いてもらうことが出来,その教授は彼女の演奏を聴いて、「私があなたに教えることは何もありません.あなたは既に素晴らしいピアニストです」と言ってくれたといいます.
この言葉が彼女にとって大きな励みになったことは言うまでもありませんが,その教授は、彼女に安価な宿舎とピアノが練習できる場所を7カ所紹介してくれたそうです.

演奏機会に恵まれるようになるのは,さらに数年後のことで,パリのあるホーム・コンサートで彼女のゴールドベルグ変奏曲を聴いた老婦人から,彼女が現在住んでいる恵まれたセーヌ河畔のフラットを格安で借りることになったといいます.そこにスタインウエイを買い入れて住んで,1994年にようやくセーヌ川対岸のパリ市立劇場(テアトル・ドゥ・ラ・ヴィル)から、リサイタルの要請を受け、初めてパリで公式の演奏会を開くことができ,最初の演奏会から、客席は満席の大盛況で,その後、毎年このホールで開くリサイタルは、同様の状況だといいます.

やがて,パリのシャンゼリゼ劇場の要請を受けて、リサイタルを開催しましたが,これまでの演奏会同様、大成功に終わり,そのプログラムはやはり『ゴールドベルク変奏曲』だったといいます.シャンゼリゼ劇場からも、毎年彼女にリサイタルを開くよう要請を受けたといいます.
しかし,彼女は完全主義者で、年齢的に完璧な演奏ができなくなることを懸念し始めているそうです.

ちなみに,彼女はルネ・マルタンの誘いで,ラ・フォル・ジュルネ東京に昨年と1昨年来日しているそうです.

ゴールドベルグ変奏曲は元来はチェンバロ用に作曲されており,
アリア
第1~第30変奏
アリア
という構成ですが,そのうち第5,第7,第29変奏には,「1段または2段鍵盤」,第8,11,13,14,17, 20,23,25,26.28変奏は2段鍵盤と指定されています.

ゴールドベルク変奏曲は正しくは「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」ですが,バッハの弟子のゴールドベルグがカイザーリンク伯爵のためにこの曲を演奏したという逸話から「ゴルドベルク変奏曲」の俗称で知られているモノです.

また,全4巻からなる「クラヴィーア練習曲集」の第4巻であり
第1巻:パルティータ BWV825‐830(パルティータ (バッハ)">第1番 変ロ長調, 第2番 ハ短調, 第3番 イ短調, 第4番 ニ長調, 第5番 ト長調, 第6番 ホ短調)
第2巻:フランス風序曲 BWV831 · イタリア協奏曲 BWV971                 
第3巻:前奏曲とフーガ 変ホ長調『聖アン』 BWV552・21のコラール前奏曲 BWV669‐689・4つのデュエット BWV802‐805("4つのデュエット"第1曲 ホ短調・ 第2曲 ヘ長調・第3曲 ト長調・ 第4曲 イ短調
第4巻ゴルトベルク変奏曲 BWV988

の構成です. 

19世紀のピアノ全盛時代には顧みられなかったこの曲が,ワンダ・ランドフスカがモダンチェンバロによる演奏を録音し、高く評価されて脚光を浴び,グレン・グールドはレコード会社に反対されながらもデビュー盤にこの曲を選択、1956年にリリースされたピアノ演奏のレコードが世界的な大ヒットとなったといわれます.

シュ・シャオメイの今夜の演奏は素晴らしいモノでした.最初の32小節のアリア主題が柔らかい音で美しく弾かれたとき,早くも感動を覚えました.30の変奏曲は確実なテクニックでしみじみと展開され,最初のアリアが終曲で回帰したときには,彼女の演奏の美しさが身に染みました.

また,是非来日して,同じ『ゴールドベルク変奏曲』を聴かせて貰いたいと願うモノです.

なお,私は,曾根麻矢子のチェンバロでゴールドベルクを聴いたことがあることを付言しておきます.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

【短信】内田光子の栄えある受賞 [音楽時評]

昨年11月のサントリーホールでのシューベルト最晩年のピアノソナタ第19~21番の名演についてはこのブログで報告し,最近のそれとまったく同じプログラムのNew York のCarnegie Hall での好演についての高評もお伝えしましたが,この度は,その内田光子が,イギリスでPianist Dame Mitsuko Uchida is to receive the Royal Philharmonic Society (RPS) Gold Medal, one of the highest honours in classical music という記事がありましたのでご紹介します.

これで内田光子は,Alfred Brendel, Pierre Boulez, Sir Simon Rattle, Placido Domingo and Daniel Barenboimなど有名な受賞者の仲間入りをすることにおなるそうです.

なお,写真の説明の中にあるMitsuko Uchida was made a CBE in 2001 and a Dame in 2009 とあるのは,イギリスの爵位を受けたというモノで,Dame は男性のナイトに対応する高位の爵位にあたり,ディム光子内田と呼ばれる栄誉です.

35年以上イギリス在住の日本人の受賞は,たいへん喜ばしいことだと思います.63歳は未だ未だ絶頂期だと思いますから,無理をされないで今後も長く活躍されることを祈りたいと思います.

 

Mitsuko Uchida Mitsuko Uchida was made a CBE in 2001 and a Dame in 2009

 

Pianist Dame Mitsuko Uchida is to receive the Royal Philharmonic Society (RPS) Gold Medal, one of the highest honours in classical music.

Celebrated for her performances of Mozart and Schubert, she was described as a "peerless musician" by the RPS.

Dame Mitsuko will join modern-day gold medallists including Alfred Brendel, Pierre Boulez, Sir Simon Rattle, Placido Domingo and Daniel Barenboim.

She will be presented with the medal at the RPS Awards in London on 8 May.

The 63-year-old was born in Japan and moved to Vienna at the age of 12 with her diplomat father. She has lived in London for more than 35 years and was made a Dame in 2009.

Her previous honours include a Grammy Award in 2010 for best instrumental soloist.

The Royal Philharmonic Society Gold Medal was launched in 1870 to mark the centenary of Beethoven's birth and has been given to figures including Brahms, Elgar, Stravinsky, Britten and Bernstein.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

サントリーホール:ポゴレリッチ・ピアノリサイタル [音楽時評]

5月9日,この人もラ・フォル・ジュルネと兼ねて来日したピアニストですが,超個性的なイーヴォ・ポゴレリッチのピアノリサイタルを聴きに行って来ました.

1980年のショパン・コンクールで,マルタ・アルゲリッチが,この人が本選に進めなかったのを批判し,「彼は天才だ」といって審査員を辞任したことで,一躍,有名になった人です.
1958年10月,ユーゴスラビアの首都ベオグラード生まれ.1980年、22歳のとき当時師事していた43歳の女流ピアニスト,アリザ・ケゼラーゼと結婚したり、弱音指定の箇所を強打する,早いパッセージをユックリ弾く,など型破りなことで知られた人です.それはケゼラーゼを喪ってから,いっそう顕著になったといいます.

プログラムは,
ショパン: ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op. 35 「葬送」
リスト:   メフィスト・ワルツ第1番
        ※※※※※※※※
ショパン: ノクターン ハ短調 op.48-1
リスト:    ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
でした.

音楽会場に行くと,通常,終演予定時間が掲示してあるのですが,この超個性的ピアニストのリサイタルについては,それがありませんでした.
実際,早いところはユックリと,弱音は強打して憚らない独自性,超個性的な演奏をする人なのです.
2010年のリサイタルを主催したカジモトの説明でも,前回2010年のリサイタルでは,ショパン「ピアノ・ソナタ第3番」が50分弱(通常25分),ラヴェル「夜のガスパール」(通常25分)も45分ほどかかったという、どれも倍くらいの所要時間だったという異例の事実があり,リサイタル自体が休憩20分をはさみ、なんと3時間半かかりました...とあります.
また,今年3月のベルリンでのリサイタルでは,
ショパン「ピアノ・ソナタ第2番」が約30分強(通常20分強),
リスト「ピアノ・ソナタ ロ短調」が約45分(通常30分)ですから,
まあ大体50%増しで、20分の休憩をはさんで2時間半くらいで終わったようです.と情報が伝えられていました.

今夜は,演奏時間でいいますと,前半が2曲で50分,休憩が15分,後半が2曲で70分位だったでしょうか.

開演から会場全体は暗くし,ステージも最小限の照明でボーッと浮かんでいる感じでした.理由はプログラムに載っていた記事によりますと,ポゴレリッチはコンタクト・レンズを使っているので,ステージが明るいと目が光って譜面を見難くなるというのです.
彼は常に自分で楽譜を持ってステージに現れ,譜めくりさんが付いて,譜面台の楽譜を見ながら演奏していました.これだけユニークな演奏をする人が,これほどの名曲を並べて,暗譜ではなく譜面を見ながらの即興性によっていたことに,たいへん驚嘆しました.

そこまで個性的でしたから,プログラムの有名曲のどれも,よくここまで個性的に弾けるモノだと感嘆しながら聴いていました.

どう個性的だったかといわれても困るのですが,1点だけあげますと,ショパンのソナタの葬送行進曲部分は,ほぼ一貫して弱音で弾き通したのが印象的でした.

プログラムの中に,ポゴレリッチの語録が2頁にわたって載っているのですが,「私はアンコールは弾きません.もしまだ完全ではないと思ったならばパラキレフののイスラメイのようなものを弾くことがあるかも知れません」とあります.
私も,聴衆として,アンコールは聴かない主義なので,なるべく端の席に座って,1回カーテンコールをしたら席を立ちますから,アンコールがあったかどうかは知りません.

 



 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

武蔵野文化大ホール:ロシア国立ウラル・フィル演奏会 [音楽時評]

5月7日,武蔵野文化会館大ホールに,ロシア国立ウラル・フィルハーモニ管弦楽団の演奏会を聴きに行って来ました.指揮者は同楽団の音楽監督ドミトリー・リス,そしてヴァイオリン・ソロにキリル・トルソフが参加していました.

ウラル・フィルハーモニ管弦楽団は,ラ・フォル・ジュルネで5月3~5日とブラームスのヴァイオリン協奏曲【テディ・パパヴラミやリストのピアノ協奏曲第2番【広瀬悦子】,ブラームスのピアノ協奏曲第2番【ボリス・ベレゾフスキー】,ブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲【庄司紗矢香&タチアナ・ヴァシリエヴァ】,ブラームスのピアノ協奏曲第1番【小山実稚恵】などなどと,八面六臂の活躍というか,便利屋さん扱いされてきたばかりで,さぞお疲れだったろうと心配していました.

トルソフは,1982年生まれ,ユーディ・メニューイン国際コンクール.オレク・カガン国際音楽祭,ヴィエニャフスキー国際ヴァイオリン・コンクールで立て続けに首位になり,国際舞台に登場したそうで,使用楽器は,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の初演に使われたストラディヴァリウス”ブロドスキー”だといいます.

プログラムは,
チャイコフスキー:組曲『くるみ割り人形』 Op.71a より
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
        ※※※※※※※※
リムスキーコルサコフ:交響組曲『シェヘラザード』 Op.35
でした.

『くるみ割り人形』は抜粋で,
ⅠMiature Overture,
ⅢDance of the Sugar-plum Fairy, 
ⅥChinese Dance,
ⅧDance of the Reeds,
ⅣRussian Dance "Ttrpak"
の5曲が演奏されました.いろんなオーケストラ編曲があるので,プログラムに明記すべきだったと思いますが,今夜はProgram Note なしという不親切さでした.
ここでは比較的小編成のオーケストラで,4曲がお手の物でもあったようで,たいへん穏当な演奏に終始し,安定した好演でした.

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ですが,ここではかなりハッキリとリハーサル不足が目立ちました.ソリストが協奏しない場面ではオーケストラはすごく早いテンポで飛ばしていましたし.管楽器が優れた楽団だった所為もありますが,ヴァイオリンが弾いているところに管楽器が無遠慮に大音量を響かせたりしていました.
超有名ソリストを相手の苦労からの開放感があったのだと思いますが,せっかくストラディヴァリの美音を響かせていた30歳のヴァイオリニストにはいささか気の毒に感じました.
ただ,この有名曲の演奏で,第1楽章のあとにかなり大勢の人の拍手が入ったのにはビックリしました.クラシック音楽で有名な武蔵野市で起こるとは想像外だったからです.
あるいは管楽器の無遠慮さは,これが遠因になったのかも知れません.

『シェへラザード』は,千夜一夜物語の語り手、シェヘラザードの物語をテーマとした4楽章の曲です.
Ⅰ海とシンドバットの船
Ⅱカランダール王子の物語
Ⅲ若い王子と王女
Ⅳバグダットの祭りー海
の4楽章ですが,お得意の弾き慣れた曲だったようで,なかなかの好演でした.
このオーケストラの特色は管楽器,とくに金管楽器の輝かしさにあるようで,この4曲の2/3位はトロンボーンとトランペットとチューバがすごくよく鳴っていました.ホルンはそれほどでもありませんでしたが,これほど金管本位の演奏は久し振りだったので,結構,楽しめました.ただ,それも五弦が良く鳴っており,とりわけコンマスとチェロの首席が誠に見事なソロを,たびたび入れていたからです.特にコンマスの美音は,稀にしか聞けないといって良いほどでした.

とにかくお疲れのところをそれなりの好演を誠にご苦労様でした,と申し述べたいと思います.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

読売ホール:ラ・フォル・ジュルネ室内楽2駒 [音楽時評]

5月5日,あたふたと人々が会場から会場へと渡り歩く姿が,どうしても好きになれないのですが,今年のラ・フォル・ジュルネはロシア音楽中心に駒を増やしたせいか,国際フォーラムをはみ出して読売ホールにまで会場を広げていたので,そちらで開かれた室内楽を2駒聴いてきました.

第1が,
庄司紗矢香;ヴァイオリン
タチアナ・ヴァシリエヴァ;チェロ,01年ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクール優勝
フラメナ・マンゴーヴァ;ピアノ,2007年エリーザベト王妃国際コンクール2位
による,
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリンとピアノのための前奏曲 全24曲から10,15,16,24番
    々      :ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 緩ー急ー緩ー急の4楽章

第2が,
ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジャベディアン:ヴァイオリン
ラファエル・ビドゥ:チェロ
ヴァンサン・コック:ピアノ
で構成された「トリオ・ヴァンダラー」
による
チェイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 op.50 「偉大な芸術家の思い出に」

でした.

第1は2階で聴いて,第2は1階正面で聴きましたから,厳密な比較にはならないでしょうが,演奏は庄司紗矢香グループが格段に優れていました.
ショスタコーヴィチの前奏曲24曲は,まず,ピアノで作曲され(1932~33年),それをピアノとヴァイオリン用に編曲し,さらにオーケストラ用編曲も残されています.
24曲はショパン同様全部調性が異なるのですが,ここでは4曲が見事に好演されました.

次のピアノ三重奏曲は,交響曲第8番が作曲された翌年(1944年)の作曲で,ロシアにおけるこのジャンル伝統を汲んで、追悼音楽として構想され、作曲者の親友イワン・ソレルチンスキーの追憶に献呈された曲です.
4楽章構成で,第1楽章では,チェロ独奏で入りますが,その後ヴァイオリンが高音を弾くチェロより低い音を奏でています.このチェロが抜群の出来でした.
キビキビした第2楽章の後の緩徐楽章が哀惜の念を湛えています.終楽章が最も長大で,「ユダヤの旋律」を中心主題として形成されていますが,第1楽章冒頭のチェロの主題,第2楽章のピアノの主題そしてヴァイオリンの「墓場の主題」が入り交じって終わります.
特にチェロとヴァイオリンの好演が目立ちました.

第2の有名な「偉大な芸術家の思い出に」は,5月3日にもこのトリオで演奏された所為か,いささか演奏が雑になっていました.とりわけチェロが高音弦と低音弦でがらりと音色が変わるモノですから,有名な旋律に溢れたこの曲にしては,かなり聴きづらい演奏でした.ラ・フォル・ジュルネがフランスの演奏家中心になるのは仕方がないのでしょうが.フランスのトリオには,元来,不向きだったのではないでしょうか.

もっと基本的な問題点として,フランスの地方の音楽祭が,大都市圏でなら何をやっても多くの人が集まるという利点だけを求めて,毎年,東京そしてそれに便乗して北陸でも開かれることには,たいへん違和感を覚えます.

この1995年にフランスの地方都市ナントで始まった「熱狂の日」の空騒ぎを,デフレ下の東京に2005年に持ってきて,既にオーケストラ過剰の東京に,主にオーケストラはロシアから,室内楽はフランスその他から持ってきて,それでも少数混じった有名ソリストは,この「熱狂の日」はお座なりに,空騒ぎ後の日本主要都市の音楽専門ホール巡演で,それなりの好演と音楽的成果を残していきますが,初期に参加していた将来性を期待された日本の若手演奏家が,次第にこれに参加しなくなっていることは重大です.

そもそも1回45分の音の悪いホールでの公演に¥3000は,まるで安かろう,悪かろうではありませんか.あたふたと会場から会場へ辿り着くと,[リハーサル中]お待ち下さい,ではますます安かろう悪かろうです.

来年以降も続けるのなら,もっと絞り込んで,若手日本人中心に転換してやれば,まだこの音響の芳しくない多目的ホールをいくつも使ってやるカラ騒ぎの意味づけが出来るのではないでしょうか.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

紀尾井シンフォニエッタNew York 公演 [音楽時評]

紀尾井ホールのレジデンスオーケストラである、紀尾井シンフォニエッタ東京は、ワシントンD.C.に日本から桜が寄贈されて来年が100周年であることを記念して、ワシントンD.C.の国立美術館「ナショナル・ギャラリー・オブ・アート」が開催する「チェリー・ブラッサム・ミュージック・フェスティヴァル」でのコンサートに参加(4/29)するほか、フィラデルフィアのヴェライゾン・ホール(4/27)、ボストンのサンダース・シアター(ハーバード大学)(5/1)、ニューヨークのアリス・タリー・ホール(5/2)で演奏を行う.と公表されていましたが,New York 公演の音楽評が掲載されましたので,ご紹介します.

なお,サンダース・シアター(ハーバード大学)はボストンではなく,隣のケンブリッジにあります.

指揮はUtah Symphony OrchestraのMusic Director, Thierry Fischer, ピアノ・ソロに小菅優が加わっています.いずれも初共演だそうです.

プログラムは,
Mozart’s “Marriage of Figaro” Overture
Mozart’s Piano Concerto No. 22
       ※※※※※※※※
Beethoven’s “Eroica” Symphony
だったようです.

アンコールに,小菅優が,シューマンの「献呈」(リスト編)を
シンフォニエッタが,Shoko Maita wrote “The Annunciation of the Spring,” featuring enigmatic flute parts, in honor of the cherry blossom celebrations. を演奏したとあります.

The orchestra, conducted by Thierry Fischer, played with polish and commitment throughout. Mr. Fischer, the music director of the Utah Symphony Orchestra, who was making his debut with the Kioi Sinfonietta in these concerts, opened the program with a vivid rendition of Mozart’s “Marriage of Figaro” Overture.
と指揮者とシンフォニエッタの関係は良好だったようです.

次に,Yu Kosuge, the soloist in Mozart’s Piano Concerto No. 22, demonstrated  an elegant touch and lithe technique と演奏は素敵だったようですが,彼女が演奏したカデンツァがwritten by Benjamin Britten for Sviatoslav Richter to perform at the Aldeburgh Festival in England, だったそうで,sounded jarring. Both have harmonic twists and flourishes that yank Mozart too abruptly into the 20th century. と批判的です.
イギリスでの演奏にイギリス人作曲家がSviatoslav Richter のために書いた曲が,アメリカでは受け容れ難かったようです.

エロイカは, Mr. Fischer led a vibrant and subtly shaped interpretation of Beethoven’s “Eroica” Symphony. と評価しています.

最後のアンコールで,やっと日本人作曲家Shoko Maita が書いた “The Annunciation of the Spring,” featuring enigmatic flute parts, in honor of the cherry blossom celebrations. で桜贈呈100周年を祝ったそうです.

指揮者とピアニストが紀尾井シフォニエッタと初共演だったようですが,相当の好評を博したようです.

 

Music in Review

Kioi Sinfonietta Tokyo

Alice Tully Hall

It might seem as if a concert honoring the centennial of Japan’s gift of cherry blossom trees to America should have included substantial works by Japanese or American composers. Instead the Kioi Sinfonietta Tokyo offered Mozart and Beethoven for its New York debut on Wednesday evening at Alice Tully Hall, part of a four-city tour of the East Coast.

The orchestra, conducted by Thierry Fischer, played with polish and commitment throughout. Mr. Fischer, the music director of the Utah Symphony Orchestra, who was making his debut with the Kioi Sinfonietta in these concerts, opened the program with a vivid rendition of Mozart’s “Marriage of Figaro” Overture.

Yu Kosuge, the soloist in Mozart’s Piano Concerto No. 22, demonstrated an elegant touch and lithe technique, although the two odd cadenzas she played, written by Benjamin Britten for Sviatoslav Richter to perform at the Aldeburgh Festival in England, sounded jarring. Both have harmonic twists and flourishes that yank Mozart too abruptly into the 20th century.

As an encore, Ms. Kosuge performed Liszt’s arrangement of Schumann’s “Widmung” (“Dedication”). After intermission, Mr. Fischer led a vibrant and subtly shaped interpretation of Beethoven’s “Eroica” Symphony.

The centennial was finally alluded to in the encore. Shoko Maita wrote “The Annunciation of the Spring,” featuring enigmatic flute parts, in honor of the cherry blossom celebrations.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Yuja Wang piano recital in London [音楽時評]

若き天才ピアニスト,Uja Wng がLondon,Queen Elizabeth Hall のInternational Piano Series で演奏会を開いた音楽評が掲載されていましたので,ご紹介します.

どうも余りの絢爛たる技巧に目が行ってしまって,彼女が紡ぎ出す音楽の内容面に十分目が行き届かなかったのではと思わせる側面があり,かなり批判的な内容ですが,他誌の絶賛記事への揶揄から始めています.

There’s something about young Chinese pianist Yuja Wang that makes normally sane people lose their heads. A recent headline in a music magazine shrieked “Yuja Wang on the verge of world domination”.
She has a blistering technique that has to be seen to be believed, coupled with an insouciant charm. She’s like a force of nature, contained in the body of a smiling slender nymph.

Her performance of Rachmaninov’s Etude-tableau Op 39 no 6 was so fierce that when it was over we all sat dumbfounded. Reaction seemed entirely out of place; it would have felt like applauding a volcano for erupting so splendidly. It was the same with the three Rachmaninov pieces that followed. We were astonished by a phenomenon, rather than wrapped in a musical experience.

it was a perplexing evening, which left me cold. Which was a shame, as it contained some wonderful things. Wang’s uncanny intensity and her sheer ferocity were exactly right for the febrile heat of Scriabin’s 5th Sonata. And there were some lovely liquid moments in the slow movement of Prokofiev’s Sixth Sonata, and a keen sense of its contrapuntal layers. For a moment, one felt real warmth in the air.

It was in the moments when more subtle shades of emotion were needed that things went wrong. Her performance of Beethoven’s wonderful Eb sonata Op 27 was stiff and uncomprehending. It felt as if Wang had placed her performance in a deep freeze to keep it fresh, and forgotten to thaw it out. It was dispiriting, but we live in a culture that loves extremes, and finds the middle ground boring. So the idea that Wang is headed for world domination perhaps isn’t as daft as it sounds.

日本語訳に向かないので,原文のままにしますが,あとはどうぞご自由にご渉猟下さい.
Wang is headed for world domination は彼女ならではの演奏スタイルというべきなのでしょう.   

 

 

 

Yuja Wang, Queen Elizabeth Hall, review

Ivan Hewett reviews Yuja Wang at the Queen Elizabeth Hall.

The pianist Yuja Wang
Athletic prowess and emotional chilliness: The pianist Yuja Wang Photo: Felix Broede/Deutsche Grammophon

Take a look at her performances of virtuoso showpieces posted on YouTube, and you can see why. She has a blistering technique that has to be seen to be believed, coupled with an insouciant charm. She’s like a force of nature, contained in the body of a smiling slender nymph.

At Tuesday’s recital at the Queen Elizabeth Hall, Wang’s virtuosity was fully on display. But not the charm. She teetered on stage in perilously high heels, stood by the keyboard and stared out with an unseeing gaze and a stiff smile, as if she were about to be presented to royalty. Then she jack-knifed, in a strange parody of a formal bow. If she’d been standing three inches to the left, she would have knocked herself clean out on the piano keyboard.

The music-making had the exactly the same combination of startling athletic prowess and emotional chilliness. Her performance of Rachmaninov’s Etude-tableau Op 39 no 6 was so fierce that when it was over we all sat dumbfounded. Reaction seemed entirely out of place; it would have felt like applauding a volcano for erupting so splendidly. It was the same with the three Rachmaninov pieces that followed. We were astonished by a phenomenon, rather than wrapped in a musical experience.

In all it was a perplexing evening, which left me cold. Which was a shame, as it contained some wonderful things. Wang’s uncanny intensity and her sheer ferocity were exactly right for the febrile heat of Scriabin’s 5th Sonata. And there were some lovely liquid moments in the slow movement of Prokofiev’s Sixth Sonata, and a keen sense of its contrapuntal layers. For a moment, one felt real warmth in the air.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

武蔵野文化:アルガマニヤン(pf)リサイタル  [音楽時評]

5月1日,武蔵野文化会館小ホールに,ナレ・アルガマニヤン(1989年アルメニア生まれ)のピアノリサイタルを聴きに行って来ました.

2008 Montreal International Musical Competition 1st prize.が主要な受賞歴ですが,マールボロ,タングルウッドなど国際的な音楽祭に招かれて国際的な活躍の場を広げているそうです.

プログラムは,
バッハ:      パルティータ第3番 イ短調 BMW827
シューベルト:  4つの即興曲 Op.90,D899から    No.3 & 4
リスト:       村の居酒屋での踊り[メフィスト・ワルツ第1番」 S514/R181
          ※※※※※※※※
ラフマニノフ:   練習曲集「音の絵」 Op.33より  No.1~6全曲
チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」(編曲プレトノフ)  I~VII
バラキレフ:    イスラメイ
と盛り沢山でした.

しかし,残念に思ったことは,どれもが技巧をひけらかす曲ばかりで,曲の解釈や構成を顕示するたぐいの能力を見る曲が,短いイスラメイを除いて,欠けていたことです.ずばり言えば,ピアノソナタが1曲もなかったのです.
さらにいえば,バッハ,チャイコフスキーはいずれも編曲された作品で,本来のピアノ曲ではありませんでした.
シューベルトの即興曲集は4曲纏めてではなく,2曲だけでした.ラフマニノフの練習曲集は纏めて6曲でしたが,いずれもかなり短い曲でした.

バッハではミス・タッチが目立ちました.シューベルト以降は目立ちませんでしたが,リストの曲は,つい先日,トリフォノフがアンコールに弾いた絢爛たる演奏と,ついつい較べて聴いていました.

ラフマニノフの練習曲集は選曲して弾かれることが多いのですが,それを纏めて6曲聴かせてくれたことは評価したいと思います.

チヤイコフスキーの編曲は,原曲にかなり忠実ですが,その演奏をどうのこうのいうつもりにはなれません.

バラキレフのイスラメイは,滅多に聴かない曲ですが,なかなかの名曲だと感じさせる演奏でした.

そんな訳で,こうした短編集からでは,アルガマニヤンがかなり高度のテクニックを持った人だとは分かりましたが,それ以上に,彼女のピアニストとしての資質や将来性について何かをいう気持ちにはなれませんでした.

中堅どころのピアニストではなく,ごく若いピアニストなのですから,武蔵野文化会館側からソナタを1曲は弾いて欲しいと要望しなかったのが不可解です.既にレコーディングもあって,そこにはソナタが複数曲収録されているのですから,要望には必ずや応えてくれたと思うのです.

 

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Philadelphia Orchestra with Simon Rattle [音楽時評]

労使紛争に明け暮れ,民事再生法申請をし,Music Director 欠員のまま,Charles Dutoit をPrincipal Conductor として凌ぎ,ようやくCanada から若いMusic Director,Yannick Nézet-Séguin(1975年生,ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団Music director,今秋着任予定) を迎えて最出発する名門Philadelphia 菅が,その恒例のCarnegie Hall 演奏会に Simon Rattle を迎えて好演したという音楽評が掲載されていましたので,ご紹介します.

シューボックス型で,優れた音響を持つBoston Symphonyと違い,音響がデッドなホールで演奏するPhiladelphia Symphony は,長年をかけて音を磨き,アンサンブルで音に独特な広がりを持たせるよう、いろいろ工夫をし、それが分厚く柔らかくて優しい"華麗なフィラデルフィア・サウンド"の響きを発達させたとされています.特に、伸び伸びと広がる豊麗なシルクのような弦楽の音色は有名で,聴く者を魅了します.また、オーボエ首席は常に世界的に有名な奏者です.

その音色の素晴らしさもあって,Berlin Phil のSimon Rattle が,Philadelphia菅とは良好な関係を維持してきたようで,今回のCarnegie Hall 公演の指揮にあたったようです.
With all the reports of financial struggles and labor clashes that have dogged the Philadelphia Orchestra this season, you can lose sight of the fact that on any given night this storied institution will probably prove anew that it remains one of the country’s premier ensembles. Certainly no other American orchestra has cemented as durable and fruitful a relationship with Simon Rattle, the chief conductor of the Berlin Philharmonic and one of the world’s more provocative conductors.

Watching him work with the Philadelphia players during their latest visit to Carnegie Hall on Friday evening, you sensed an enduring mutual admiration.

プログラムは,
Brahms’s Third Symphony
Webern’s Six Pieces
Schumann’s Symphony No. 3 (“Rhenish”)
だったようです.

ここでは,結びだけ引用しておきますが,あとはご自由に,ご渉猟下さい.
The Philadelphia players were infectiously blithe and vivacious for Mr. Rattle in the symphony’s airy second, third and fifth movements. The fourth, Schumann’s rendering of a Gothic cathedral, was perfectly German in its weighty solemnity and perfectly conveyed by this happy combination of conductor, ensemble and hall.

 

Music Review

A Symbiotic Relationship That Just Keeps Growing

Philadelphia Orchestra with Simon Rattle at Carnegie Hall

Matthew Dine for The New York Times

Philadelphia Orchestra Simon Rattle conducted works by Brahms, Schumann and Webern at Carnegie Hall on Friday night.

With all the reports of financial struggles and labor clashes that have dogged the Philadelphia Orchestra this season, you can lose sight of the fact that on any given night this storied institution will probably prove anew that it remains one of the country’s premier ensembles. Certainly no other American orchestra has cemented as durable and fruitful a relationship with Simon Rattle, the chief conductor of the Berlin Philharmonic and one of the world’s more provocative conductors.

The news media have consistently cast Mr. Rattle as the one who got away: a putative candidate for the position of music director in Philadelphia before Berlin snapped him up. Watching him work with the Philadelphia players during their latest visit to Carnegie Hall on Friday evening, you sensed an enduring mutual admiration.

As important, you heard it. At a glance the program looked like standard business: symphonies by Brahms and Schumann bookending Webern’s Six Pieces for Orchestra (Op. 6). A vital advocate for modern music, Mr. Rattle has been more wayward in canonic Classical and Romantic repertory. Some critics have suggested that while working with the Berlin Philharmonic he has absorbed as much about tradition as he has imparted about curiosity and progress.

That same effect applied here. The sound the Philadelphia players mustered from the heroic opening bars of Brahms’s Third Symphony was the orchestra’s own, showing the richness and refulgence that are this institution’s legacy. But the way the music breathed and flowed was Mr. Rattle’s doing. His deft balances in the second movement brought out mild, melancholy dissonances; likewise a glorious account of the heavenly third movement seemed flecked with seraphic light.

After an intermission awkwardly prolonged by a few dozen audience members returning to their seats for the Webern with the alacrity of children facing a dentist’s chair, Mr. Rattle and the orchestra presented the most exactingly voiced, intensely characterized account of the Six Pieces I have ever heard. Each facet of these gemlike miniatures glistened distinctly within a seductive span; Mr. Rattle’s careful calibration made palpable the work’s core sensations of dread, shock, loss and ache.

Schumann’s Symphony No. 3 (“Rhenish”), less a coherent statement than a themed grouping of felicitous evocations of German life, opened with an impetuous thrust that initially seemed to sacrifice nobility for buoyancy. But here again a subtle elasticity in Mr. Rattle’s phrasing gave the music teeming inner life.

The Philadelphia players were infectiously blithe and vivacious for Mr. Rattle in the symphony’s airy second, third and fifth movements. The fourth, Schumann’s rendering of a Gothic cathedral, was perfectly German in its weighty solemnity and perfectly conveyed by this happy combination of conductor, ensemble and hall.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Boston Syymphony Orchestra のMusic Director探しやり直し [音楽時評]

とうとう2012~2013年シーズンも,Music Director 欠員のまま迎えることになったBoston Symphony Orchestra ですが,このシーズンには17人の指揮者が登場することが予定されており,そのなかから誰かが選ばれることが有力視されています.

Orchestra の内々の方針として,大化けを期待した小澤征爾に大化けしないまま長居された失敗に懲りて,出来れば40代以上から選ぼうとしているといわれています.

17人の内訳は次の通りです,

British conductor Bramwell Tovey  (opening)
BSO Conductor Emeritus Bernard Haitink  (Closing)
Charles Dutoit, Rafael Frühbeck de Burgos, and Daniele Gatti  3protams each
Christoph von Dohnányi  2programes
Vladimir Jurowski makes his BSO debut
Andris Nelsons makes his subscription series debut 
Stéphane Denève returns to Symphony Hall for the third consecutive season
Composer-conductorsThomas Adès
Oliver Knussen (April 12-13)
pianist-conductor Christian Zacharias 
Other returnees to the Symphony Hall include
Christoph Eschenbach
Giancarlo Guerrero
Juanjo Mena
New York Philharmonic Music Director Alan Gilbert 
BSO Assistant Conductor Marcelo Lehninger
といった蒼々たる顔ぶれです.

この中で有力視されているのが,
Vladimir Jurowski (1972年生,Music Director of the Glyndebourne Festival Opera, principal conductor of London Philharmonic Orchestra, Principal Conductor of the State Academic Symphony Orchestra of the Russian Federation)makes his BSO debut
Andris Nelsons (1978年生,Music Director of the City of Birmingham Symphony Orchestra )makes his subscription series debut
Stéphane Denève (1971年生,Chief conductor,Stuttgart Radio Symphony Orchestra) returns to Symphony Hall for the third consecutive season
の3人だと思います.

NelsonsRiccardo Chailly と共に有力視されながら,昨シーズンのスケジュールをキャンセルした人ですが,Nelsons に対しては,未だ熱い視線が残っているようです.ただ,この4月にヨーロッパで乳児の疾病を理由に公演をキャンセルしていましたから,アメリカへの移住は難しいでしょう.

Jurowskiも London Philharmonic Orchestra を振ってまでBSOに来ないでしょうし,     Denève はフランスものからどこまで独墺露にまでレパートリーの幅を広げられるか,判じがたいところです.

なお,ご参考までに,昨年春の時点で,地元紙Boston Globe が上げていた候補者は次の通りでした.そこから見ると,今秋からのTryout はかなり絞り込まれているといえそうです.

POTENTIAL REPLACEMENTS

Michael Tilson Thomas
Riccardo Chailly
Andris Nelsons
Vladimir Jurowski
Daniel Harding
Susanna Malkki
Robert Spano
Kent Nagano

なお,Tryoutには,秋の定例のCarnegie Hall 公演も含まれますから,上記のなかで, Carnegie にも名前が挙がって,昨年のようにその3人の内2人までがキャンセルしたというようなことがなければ,何とか2012~2013年シーズン中にNew Music Director が公表される可能性はあります.

 

 

The BSO's 2012-2013 Season


The BSO'S 2012-13 Season continues the Orchestra's extraordinary 132-Year Tradition of Presenting the very best of the classical music world
The Boston Symphony Orchestra's 2012-13 season, September 22-May 4, offers concertgoers an impressive array of programs featuring both familiar friends and new faces, in performances ranging from powerful, large-scale masterpieces for symphony orchestra, soloists, and chorus to distinctive works rarely performed by the BSO, as well as a conductor-less program focusing on the virtuosic individual sections of the orchestra. The BSO's 132nd season continues the BSO's proud tradition of extraordinary music-making and presenting the important composers of our time, with the new season showcasing eight of the most prominent living composers of our time.

SEVENTEEN ACCLAIMED GUEST CONDUCTORS LEAD BSO SUBSCRIPTION CONCERTS
Seventeen of the world's best conductors lead the BSO at Symphony Hall in its 2012-13 subscription season. British conductor Bramwell Tovey opens the season with concert performances of Gershwin's Porgy and Bess (Sept. 27-28). BSO Conductor Emeritus Bernard Haitink closes it with music of Brahms, Schubert, and Mahler (April 25-30 and May 2-4). In between,Charles Dutoit, Rafael Frühbeck de Burgos, and Daniele Gatti lead three programs each, and Christoph von Dohnányi leads two programs. Vladimir Jurowski makes his BSO debut leading Mendelssohn and Shostakovich (Oct. 11-13),Andris Nelsons makes his subscription series debut with music of Shostakovich and Tchaikovsky (Jan. 31-Feb. 5), andStéphane Denève returns to Symphony Hall for the third consecutive season (Nov. 29-Dec. 1). Composer-conductorsThomas Adès (Nov. 15-17) and Oliver Knussen (April 12-13) lead programs including music of their own, and pianist-conductor Christian Zacharias is showcased in music of Haydn, Mozart, and Beethoven (Nov. 23-27). Other returnees to the Symphony Hall podium include Christoph Eschenbach, Giancarlo Guerrero, and Juanjo Mena, as well as New York Philharmonic Music Director Alan Gilbert and BSO Assistant Conductor Marcelo Lehninger.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

紀尾井ホール:伊藤恵ピアノ・リサイタルの好演 [音楽時評]

ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学ハノーファー国立音楽大学で学び,1983年第32回ミュンヘン国際コンクールピアノ部門の優勝者として,ヨーロッパでの活躍歴も豊富な伊藤恵の演奏会を聴きに,紀尾井ホールに出かけてきました.
1959年1月6日生まれといいますから,今が円熟期といえるのでしょうか.

シューマンが好きな作曲家と公言して来た人で,シューマンのピアノ作品全曲録音を完成させたことでも知られています.

近年はほぼ毎年4月29日に紀尾井ホールでのリサイタルを開いている人ですが,今年は,ブラームスと細川俊夫,それにシューベルトでした.

プログラムは,
ブラームス: 3つのノインテルメッツオ op.117
ブラームス: 4つの小品 op.119
             ※※※※※※※※
細川俊夫:  ピアノのためのエチュード1 ー2つの線ー
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960
でした.

最初の3つのインテルメッツオの第1曲は,ブラームス自身が「自分の悲しみの子守歌]と述べたといわれる曲で,その趣旨の民謡詩が楽譜に記されているそうです.慰めるような美しさを持った曲です.第2曲は,孤独感に埋められた曲,第3曲は陰鬱さを持った曲です.晩年の作品で,透明感のある和声,伊庭のリズム感で統一されています.

4つの小品はブラームス最後のピアノ作品で,クララ・シューマンに贈られた曲です.第1曲は憂鬱と官能的色合い持った曲,第2曲は孤独感溢れる曲,第3曲は軽快な曲,そして第4曲は以前に着想された曲で埋められたようで,勇壮に始まって優雅に終わります.

伊藤恵さんがたいへん丁寧に想いを込めて弾いておられたのが印象的でした.

細川俊夫は昨年のブゾーニ国際コンクールの課題曲として書かれた曲を補作してエチュード1として決定版として今日の演奏会で初演されたモノです.作曲者のノートでは,音の書道を「2つの線」,旋律ラインで描こうとしたモノと説明されている,興味深い曲です.
演奏後,細川さんがステージに上がって挨拶されていました.

シューベルトは,一昨日ブラックショウで聴いた曲ですが,伊藤さんがそこはかとなく放つ日本的情感が,シューベルト最後のピアノ・ソナタに込められた情感に溶け込んだ感じで,昨年11月の内田光子に劣らない名演だったと思います.
ただ,内田光子のように,第19~21番を纏めて弾く機会を是非作って欲しいと思いました.

演奏会は若い学生さんが半数くらいを占めながら,それでも85%位の入りではなかったでしょうか.
東京芸術大学教授と桐朋学園大学特任教授を兼任されているようですから,あるいは9連休などは避けられた方が賢明だったかも知れません.

来年も,既に,4月29日の紀尾井ホールでのリサイタルが予定されているようですから,またの好演を楽しみにしたいと思います.


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

サントリーホール:都響B定期インバル指揮佐藤路世(cl) [音楽時評]

4月28日,マチネーで東京都交響楽団のプロムナード・コンサートを聴きに行って来ました.指揮はエリアフ・インバル,ソリストに楽団のクラリネット首席,佐藤路世が選抜されていました.なお,コンサートマスターは四方恭子でした.

プログラムは,
ウエーバー:   歌劇「魔弾の射手」序曲 作品77
ウエーバー:   クラリネット協奏曲第2番 変ホ長調 作品74
     ※※※※※※※※
ドヴォルジャーク:交響曲第7番 ニ短調 作品70
でした.

「魔弾の射手」序曲は堂々たる演奏で,メリハリの効いた好演でした.

クラリネット協奏曲第2番は,クラリネットの名手ベールマンに捧げられ,1811年に初演された曲ですが,クラリネットが縦横に活躍する名曲で,いくつもの入賞歴を経て都響の首席に入った佐藤路世が,朗朗と吹きまくって好演していました.東京都響に「佐藤あり」を顕示したといえます.

ドヴォルジャークは,第8番ほど有名ではありませんが,チェコを支配してきたハプスブルグ家への抵抗精神の高まりを背景にして作曲されたモノです.
第1楽章では,遠雷を思わせるティンパニの響きに乗り、ヴィオラチェロによって暗い第1主題が提示されて始まります.第2主題は、フルートクラリネットが提示する穏やかなものです.木管が入れ替わりながら第1,第2主題を展開し,第1ヴァイオリンに第2主題が受け渡されます.弦と菅が次第にクライマックスを形成して第1主題が再現され,長いコーダでも,第1主題がもう一度昂揚を作って,ホルンの静かな第1主題演奏で終わります.
第2楽章は三部形式の緩徐楽章で,木管楽器が入れ替わり主題を導き,弦に受け渡されます,中間部ではホルンの奏でる愛らしい牧歌的な主題が出て、クライマックスが築かれますが,クラリネットとホルンの応答の後、木管が残り,チェロが主要主題を奏して主部が回帰します.そしてひとしきりクライマックスを築いてから静まるり、オーボエが導入句を再現し、木管が応答しながら消え入るように終わります,
第3楽章スケルツォ:ヴィヴァーチェ ― ポコ・メノ・モッソ、三部形式のスケルツォで,弦楽器が特徴的なチェコの民族舞曲フリアントのリズムを刻む中、ファゴットチェロが主題を提示します.中間部はト長調に転じて速度を落とし、明るいカノンを思わせる音楽となります.第3部はやや簡略化され,長いコーダが付けられています.ここで使われるチェコ民族舞曲の旋律とリズムの美しさは忘れがたいモノです.
第4楽章 フィナーレ:アレグロ、ニ短調、ソナタ形式.第1主題はクラリネットホルンによる主題、第2主題は、チェロによって演奏される民謡風のものです.展開部ではこれらの主題とヴァイオリンによる結尾主題が提示されます,再現部の後コーダとなり,ここでは小結尾主題を扱って盛り上げたところで第1主題の冒頭部分を力強く奏でて速度を上げ,Molto maestosoに転じて速度を緩め、変形第1主題を壮大に演奏して、全曲が閉じられます.

この日最高の出来映えだったと思います.

インバルは今回の滞在を終えますが,晩夏からはマーラー・チクルスが始まるのが今から楽しみです.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

武蔵野文化小ホール:ブラックショウ・ピアノ・リサイタル [音楽時評]

武蔵野文化会館小ホールへ,イギリスのピアニスト,1949年生まれで60才代初期のクリスチャンブラックショウを聴きに行って来ました.

ブラックショウは10代にはオーボエを吹いていたといいますから,ピアニストとしては遅く出発したことになります.マンチェスター大学Royal Academy で学んだ後,レニングラード音楽院に学んだそうです.
いったん音楽界に登場した後,1980年代からおよそ20年間,姿を現さなかったといいますから,なかなか個性的なピアニストに違いありません.

プログラムノートに歯の浮くようなコメントが並んでいますが,上記の空白期間が既成の団子状態のピアニスト達と較べて,ある意味で新鮮さを持って受け入れられているのだと思います.2011年にはベルリンフィルと初協演したそうです.

今夜のプログラムは,
モーツアルト: ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 K457
シューマン:  幻想曲 ハ長調 Op.17
          ※※※※※※※※
シューベルト: ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960
でした.シューベルトの作品は「遺作」と呼ばれるモノです.

モーツアルトは,もともと楽譜に細かな指定がないのですから,個性的な演奏に向いていると思いますが,このソナタはモーツアルト唯一の短調のピアノソナタなのですが,それにしては,このピアニストの明るい温色が,長調で書かれたロンド形式の美しい第2楽章(緩徐楽章:ベートーヴェンの第8番ソナタ第2楽章の旋律との関連性が指摘されている)で十分に生かされていたと思います.
第3楽章では,このピアニストが,フェルマータの休止を恣意的に長く取る傾向に気づかされました.

シューマンの「幻想曲」は,元々ベートーヴェンの記念碑を建立する資金のために書かれたもので,第1楽章(「幻想的に、情熱的に弾くこと」という指定付)の終結部に,ベートーヴェンの「遙かなる恋人に寄す」が引用されて静かに終わりますが,クララとの結婚にその父親から猛反対された絶望感が第1楽章に盛り込まれていて,冒頭のハ長調が.ハ短調に転調され,悲痛なハ短調主題が展開されています.
第2楽章は,自由なロンド形式で,行進曲風に始まり,ゆったりした部分を経て,輝かしく締めくくられています.
第3楽章は,自由なソナタ形式による静かな勝利の歌の緩徐楽章で,独特の余韻を残して終わります.この全曲を通して,フェルマータがかなり個性的に活用されていました.

シューベルトの[遺作」D.960は私がたいへん好きな曲で,昨年の内田光子の名演が記憶に焼き付いていますし,ブレンデルの名盤を良く聴いていているモノとしては,ブラックショウがイギリスの大先輩,内田光子(イギリス在住)やブレンデルの名演を聴いたことがあったのだろうかと訝しく感じました.
時に不必要に強く打鍵して音を濁らしてpp 部分とのバランスを崩していたのが残念でしたし.フェルマータの恣意的な扱いも不本意でした.

私は2日後に日本のピアニスト伊藤恵さんがこの曲を弾くのを,紀尾井ホールで聴く予定をしていますが,彼女の方が優れた演奏を聴かせてくれるモノと期待しています.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Quatuor Mosaïques in New York [音楽時評]

アーノンクールの Concentus Musicus Wienの団員によって結成されたピリオド楽器の弦楽四重奏団,Quatuor Mosaïques が,久し振りにニューヨークで演奏会を開いて話題になっています.

日本でも王子ホールやトッパンホールが1年おき位に数度招聘していましたが,最近は,ご無沙汰です.

現在のメンバーとそれぞれの使用楽器は,
Erich Höbarth (violin, J. Guarnerius filius Andreae, Cremona 1705)
Andrea Bischof (violin, 18th century French)
Anita Mitterer (viola, Girolamo Devirchis, Brescia 1588)
Christophe Coin (cello, C.A. Testore, Milano 1758)
です.

New York では,the 92nd Street Y で少し腰を据えて2週間の間に複数の演奏会を開いたようです.
The group has ranked among the world’s foremost string quartets since shortly after its founding in 1985, balancing period instruments and historically informed performance practice with contemporary interpretive impulses like no other.
とその評価の高さを述べています.

当夜のプログラムは,
Haydn’s Quartet in G minor (Op. 20, No. 3)
Mozart’s Quartet in B flat (K. 458, “Hunt”)
Beethoven's final Quartet No. 16 in F (Op. 135)
そして,アンコールに
the Cavatina from Beethoven’s Quartet No. 13 in B flat (Op. 130)
を演奏したといいます.

すごく聴きたいプログラムですね.

From a start in Haydn’s fundamentals Beethoven proceeded to erect mountains, wrestle demons and gaze on eternity within the sublime sprawl of his late quartets.
と簡潔にString Quartet の発展を展望しています.

あとは,どうぞご自由に,ご渉猟下さい.

 

 

Music Review

Vigorous Interpretations of Sounds Both Old and New

Quatuor Mosaïques at the 92nd Street Y

“In a mosaic each detail appears splendidly conceived,” the cellist Christophe Coin wrote in the booklet notes for a recording of string quartets by Beethoven as performed by the Quatuor Mosaïques, the sterling Austrian ensemble of which Mr. Coin is a member. “But it is the overall picture that one takes in at a single glance,” he continued, explaining that a similar process is brought to bear when a quartet weighs all the various factors that go into forming an interpretation.

The group — Mr. Coin, the violinists Erich Höbarth and Andrea Bischof, and the violist Anita Mitterer — has ranked among the world’s foremost string quartets since shortly after its founding in 1985, balancing period instruments and historically informed performance practice with contemporary interpretive impulses like no other. Yet apart from a Zankel Hall appearance in 2009, its concerts at the 92nd Street Y during the last two weeks were part of its first United States tour in more than a decade, mostly because of its members’ busy schedules as individuals.

Still, when the Quatuor Mosaïques presented its second program at the Y on Thursday evening, the group’s ingratiating sound and impeccable interpretive unity gave the sense of a unit that lives and breathes together constantly. You could hear it in the way the players deftly negotiated the asymmetrical theme, shifts between major and minor, and rash asides in the Allegro con spirito of Haydn’s Quartet in G minor (Op. 20, No. 3), which opened the concert. They avidly embraced the jerky oddness of the Menuet; Mr. Coin sounded especially soulful in the tender Poco adagio.

With works like this, Haydn transformed the string quartet from a medium of genteel diversion to one of innovation and rigorous discourse. In Mozart’s Quartet in B flat (K. 458, “Hunt”), you heard Haydn’s advances allied to a fervid young imagination, as well as a penchant for singing lines to which Mr. Höbarth’s lithe touch and lilting tone proved ideally suited.

From a start in Haydn’s fundamentals Beethoven proceeded to erect mountains, wrestle demons and gaze on eternity within the sublime sprawl of his late quartets. In his final Quartet No. 16 in F (Op. 135), he returned to Classical form with flinty concision. The Quatuor Mosaïques made the most of this mercurial work, with a ravishing Lento assai that was tantamount to secular hymnody.

Recalled for an encore, the group complied with a similarly rapt account of the Cavatina from Beethoven’s Quartet No. 13 in B flat (Op. 130).


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

第14回チャイコフスキー優勝者ガラ・コンサート [音楽時評]

4月23日,サントリーホールに,第14回チャイコフスキー国際コンクール優勝者ガラ・コンサートを聴きに行って来ました.今夜は,ピアノヴァイオリン,チェロの優勝者3人が,ソロを披露してくれました.ヴァイオリンとチェロにはピアノの優勝者が伴奏していました.

とにかく優勝者たちのレベルの高さ,美しい音に感心しました.私は前から「日本音楽コンクール」を国際化すべきだと主張しているのですが,今のままでは,ますますローカルのレベルに置いて行かれるでしょう.

出演者は,それぞれの部門の優勝者で,
ピアノ:    ダニール・トリフォノフ(ロシア生21歳)使用楽器はFAZIOLI
ヴァイオリン:セルゲイ・ドガージン(ロシア生23歳)1758年製グァダニーニ
チェロ:    ナレク・アフナジャリャン(アルメニア生23歳)1698年製ダヴィッド・テヒラー
でした.

プログラムは,多彩で,
ドガージン,トリフォノフで
チャイコフスキー: なつかしい土地の思い出 作品42
チャイコフスキー: ワルツ・スケルツオ ハ長調 作品34
      アンコールに,マスネの「タイスの瞑想曲」
アフナジャリャン,ドリフォノフで,いずれもチェロ用編曲による
シューマン:     幻想小曲集 作品73
ラフマニノフ:    ヴォカリーズ 作品34-14
パガニーニ:     ロッシーニのオペラ「モーゼ」の主題による変奏曲
      アンコールに,エルガー「愛の挨拶」
休憩を挟んで,トリフォノフのピアノ・ソロで
ドビュッシー:    「映像」第1集,1.「水に映る影」,2.「ラモーをたたえて」,
                      3.「動き」
ショパン:       12の練習曲 作品10全曲
               第3番に「別れの曲」,第5番「黒鍵」,第12番「革命」を含む
       アンコールに,トリオで,ドヴォルザーク:ユーモレスク
                ピアノで,J.シュトラウスII「こうもり」パラフレーズ(トリフォノフ編曲)
とまことに多彩でした.
なお,トリフォノフは,2010年ショパン国際コンクール第3位入賞者でもあります.

ただただ1人1人の技術水準の高さ,豊かな構想力,多彩な表現力,美麗な音色に感嘆しました.
ソ連邦の崩壊後の東欧の音楽レベルが画期的に上がって,20世紀を超えた21世紀の大器を輩出しているのを感じました.

とりわけ,ナレク・アフナジャリャンのチェロは21世紀の大物だと思いますし,トリフォノフの表現力,構成力にも大いなる将来性を感じました.ドガージンも素晴らしいのですが,そのレベルは日本人のチャイコフスキー優勝者でも並べられるのではないかと感じました.

なお,私は行けないのですが,3人がアンドレイ・ヤコブレフ指揮のモスクワ交響楽団と協演する演奏会が同じサントリーホールで27日に予定されていますから,ご関心の方にはお薦めします. 

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

武蔵野文化小ホール:ホジャイノフ(pf)の好演 [音楽時評]

武蔵野文化会館小ホールに,2010年Chopin International Competition の入賞者ニコライ・ホジャイノフのリサイタルを聴きに行って来ました,

このCmpetition では,本命が分からないほど混戦でしたが,マルタ・アルゲリッチの強い推薦で久し振りの女性優勝者,アブデーエワが栄冠を勝ち得た外は,トリフォノフが3位(翌年のチャイコフスキーで優勝),5位まで入賞者が出ましたが,6位は該当者なしで,しかし,入選者の中にも素晴らしい人が残って話題を集めました.
その1人,最年少で1992年生まれのニコライ・ホジャイノフが,武蔵野でのリサイタルと川崎での東京交響楽団のソリストとして来日したのです.

プログラムは,
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110
ラフマニノフ:   練習曲集「音の絵」作品33より 第6曲 変ホ短調
プロコフィエフ:  ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 作品83
       ※※※※※※※※
ショパン:         ボレロ ハ長調 作品19
ショパン:         バラード第2番 ヘ長調 作品38
シューベルト:   幻想曲 ハ長調 D760 「さすらい人」
でした.

先日の日経ホールでのルビャンツエフ・ピアノ・リサイタルと冒頭の2曲が似通っていましたが,演奏内容はホールの音響の良さも手伝って,ホジャイノフが断然上でした.

ベートーヴェンでは,曲想を良く理解して,着実な構想力を明快にしながら,緩ー急ー[緩・Fuga・急]の3楽章を,弱音から強音まで幅広く表現しながら,闊達に好演してくれました.

ラフマニノフも短い曲でしたが,明快な演奏でした.

プロコフィエフのソナタ第7番は,戦争ソナタと呼ばれる第6~第8番の中でも,名ピアニスト,リヒテルの好演もあってスターリン賞を受賞した傑作で,急ー緩ー急の3楽章構成に凝縮された緊迫感溢れる曲で,ロシア人ピアニストとして自家薬籠のモノとして,素晴らしい演奏を展開してくれました.
21世紀に現れた前世紀よりも一段レベルが上の若手ピアニストの1人であることを顕示してくれたと思います.

後半のショパン2曲は,ショパンCompetition で弾いた曲だったようで,いずれも見事な演奏でした.

最後のシューベルトの幻想曲は,実質は4楽章構成ですが,全楽章が続けて演奏される名曲です.その絢爛たる好演奏はまさに今夜の圧巻でした.ベートーヴェンも好演でしたが,緊張が取れて実力をフルに発揮した点で,シューベルトが勝っていました.

私はアンコールは聴かない主義なのですが,席を立ち損ねて1曲だけ聴いたのは,記憶に間違いがなければ,リストのメフィスト・ワルツだったと思いますが,奔放に実力を発揮した好演だったと思います.

先日もそうでしたが,武蔵野文化会館がこうした新世紀若手才人の演奏機会を作ってくれたことには謝意を表したいと思います.

 

 

 

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Takács Quartet の変遷と主要ポスト [音楽時評]

世界トップクラスのString Quartet, Takács Quartet は最初はBudapest で1975年に結成されたのですが, four students at the Music Academy in Budapest,
Gábor Takács-Nagy (first violin),
Károly Schranz (second violin),
Gabor Ormai (viola), and
András Fejér (cello) formed The Takács
がOriginal members でした.

They first received international attention in 1977, winning the First Prize and the Critics' Prize at the International String Quartet Competition in Evian, France. After that the quartet won the Gold Medal at the 1979 Portsmouth and Bordeaux Competitions and First Prizes at the Budapest International String Quartet Competition in 1978 and the Bratislava Competition in 1981.

この名声を背景に,彼等は1983年にアメリカに居を移しました.そして, quartet-in-residence at the University of Colorado at Boulder の地位に就いたのです.

1993年,Gábor Takács-Nagy, first violin→British violinist Edward Dusinberre.
In 1994, Ormai, because of incurable cancer, was replaced by another British musician, violist Roger Tapping

Following these changes, the quartet embarked on a successful series of recordings: a cycle of all six Bartok quartets (dedicated to the memory of Ormai, who died in 1995) and a critically acclaimed complete Beethoven quartet cycle, as well as quartets by Smetana and Borodin.

In 2005, following the completion of the Beethoven cycle, Tapping retired. His replacement was Geraldine Walther, an American violist 

in 2005, the quartet became associate artists at the South Bank Centre, London.

そして,2012~2013シーズンから,有名なLondon のWigmore hall のassociate artists に就任する予定が公表されています.

Quartet の名称になった Takács が去り,現在のメンバーは,
Edward Dusinberre, first violin
Károly Schranz, second violin
Geraldine Walther, viola
András Fejér, cello
と出身がハンガリー2人,イギリス1人,アメリカ1人となっています.

国籍の点では,東京クァルテットの例に似ていますが,ハンガリー人2人の退任は東京クァルテットのように,目前に迫っているといえそうです.

ポストを極めたといえるTakács Quartet ですが,出来るだけ早い機会にどこかで来日の機会を設定して貰いたいと考えて,この小論を書きました.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

New York Phil 定期デビューのYuja Wang [音楽時評]

若き新世代天才ピアニストYuja Wang は,これまでもNew York Philharmonic と協演してきましたが,ツアーに同行するなどでしたから,その本拠地での定期公演への出演は,今回が初めてだったそうです.
指揮者はオランダ出身で51歳のJaap van Zweden ,the music director of the Dallas Symphony Orchestra since 2008で,たいへん評判の高い人です.

プログラムは,
her signature piece: Prokofiev’s Third Piano Concerto, a formidably challenging Neo-Classical work
Mahler’s popular First Symphony
の2曲でした
. 

Ms. Wang is not above virtuosic stunts, like her hyperfast rendition of Rimsky-Korsakov’s “Flight of the Bumble Bee.” But at her best, she is a thoughtful musician with an ear for color, texture and harmony. 

After the tranquil orchestral introduction, Ms. Wang jumped into the main section of the bustling first movement, tossing off the busy passagework with brio, dispatching bursts of chords and arm-blurring octaves with ease.

There were insightful musical touches in her playing, as in the grim episode with weighty chords that leads to a contrasting playful theme. Ms. Wang punched out those chords with steely sound, while also highlighting a sly inner voice.

Her tempos over all, especially in the finale, were brisk to the point of breathlessness.
と自分流のすごく早いテンポで押し通したようです.

Mr. van Zweden provided consistent backing, but sometimes rhythmic details sounded rushed and clipped. In a performance of this work with Claudio Abbado and the Lucerne Festival Orchestra, available on a EuroArts DVD, Ms. Wang takes swift tempos, but Mr. Abbado reins her in just enough so that her playing has a little more grace and articulate rhythm. Yet Ms. Wang is a wonder. The audience stood and cheered her.  

つまり,van Zweden も精一杯にリズムに合わせていましたが,どうしてもsometimes rhythmic details sounded rushed and clipped.になってしまったそうです.
引き合いに Claudio Abbado and the Lucerne Festival Orchestra,が上げられて,Abbado は,Mr. Abbado reins her in just enough で,a little more grace and articulate rhythm. だったのに,この夜は早すぎたと示唆しています.

それでも聴衆の熱狂はたいへんなもので,スタンディング・オベーションが続いたようです.

マーラーの熱演の後には,van Zweden も,同様の聴衆からの喝采を浴びたようです.

この音楽評のタイトルが,Star Pianist Establishes the Tempo of the Night となっていることにご留意下さい.

 

 

Music Review

Star Pianist Establishes the Tempo of the Night

Philharmonic, With Jaap van Zweden Conducting Yuja Wang

If you consider how far in advance artists are booked at major American orchestras, it did not take the New York Philharmonic long to schedule the fast-rising Dutch conductor Jaap van Zweden’s debut with the orchestra , which took place on Thursday night at Avery Fisher Hall. Mr. van Zweden, an accomplished violinist who came later to conducting, is not widely known in America. Now 51, he has been thriving as the music director of the Dallas Symphony Orchestra since 2008, and he brought the orchestra to Carnegie Hall last May for an impressive program as part of the Spring for Music Festival.

Ruby Washington/The New York Times

New York Philharmonic, with the pianist Yuja Wang, in a performance conducted by Jaap van Zweden at Avery Fisher Hall on Thursday.

Mahler’s popular First Symphony was the major work he chose for his Philharmonic debut. From the dynamic, all-out performance he conducted, it seems clear that he came to town determined to make music and make an impression. He did both on Thursday. If the performance was sometimes too feisty and intense, it was certainly exciting.

But before the Mahler, Mr. van Zweden showed his ability to work with a young virtuoso. The pianist Yuja Wang made her subscription series debut with the Philharmonic in this program, having twice performed with the orchestra on the road in 2006. A technically phenomenal performer with a flair for fashion, she has become a YouTube sensation.

Ms. Wang is not above virtuosic stunts, like her hyperfast rendition of Rimsky-Korsakov’s “Flight of the Bumble Bee.” But at her best, she is a thoughtful musician with an ear for color, texture and harmony.

For this debut she played a signature piece: Prokofiev’s Third Piano Concerto, a formidably challenging Neo-Classical work. After the tranquil orchestral introduction, Ms. Wang jumped into the main section of the bustling first movement, tossing off the busy passagework with brio, dispatching bursts of chords and arm-blurring octaves with ease.

There were insightful musical touches in her playing, as in the grim episode with weighty chords that leads to a contrasting playful theme. Ms. Wang punched out those chords with steely sound, while also highlighting a sly inner voice.

Her tempos over all, especially in the finale, were brisk to the point of breathlessness. Mr. van Zweden provided consistent backing, but sometimes rhythmic details sounded rushed and clipped. In a performance of this work with Claudio Abbado and the Lucerne Festival Orchestra, available on a EuroArts DVD, Ms. Wang takes swift tempos, but Mr. Abbado reins her in just enough so that her playing has a little more grace and articulate rhythm. Yet Ms. Wang is a wonder. The audience stood and cheered her.

In the Mahler Mr. van Zweden put a higher priority on musical character and dramatic impact than on flawless execution and textured sound. In the first movement his muscular, insistent interpretation lacked the autumnal cast I associate with this music. In the second movement, a sort of hardy scherzo, Mr. van Zweden captured the heavy-footed, folk-dance spirit, though the playing was almost rigidly emphatic.

The slow movement, seemingly a funeral march, was very good, played with rustic character and just enough rawness to convey the implied parody. Mahler marks the opening of the finale “With violent movement,” and for that, the kinetic Mr. van Zweden is your man. He drew blazing playing from the orchestra, which contrasted with the dreamy beauty of the lyrical midsection.

After the rousing brassy fanfare brought the piece to an end, the audience erupted in an ovation that rivaled Ms. Wang’s, which is saying something.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

NY:内田光子played Schubert's Last 3 Sonatas [音楽時評]

2011年11月7日に,サントリーホールで,シューベルトが死の年に一気に書き残したいわば遺作の3曲のピアノ・ソナタを,内田光子さんの演奏で纏めて聴いたのが,忘れがたい記憶として私の脳裏に焼き付いています.そのリサイタルは,時間を要するので,18時半から始められたモノでした.

同じ3曲を纏めた演奏会を,私はアルフレッド・ブレンデルで,ロンドンのフェスティバル・ホールで聴いた記憶がありますが,それ以来私は,この3曲は是非纏めて弾いて貰いたいと考えています.

この4月11日の水曜日の夜,New York のCarnegie Hall で,内田光子が昨年11月17日のサントリーホール公演とまったく同じプログラムで,素晴らしい演奏会を開いたことがNew York Times に論評されていましたのでご紹介します.

演奏内容如何よりも何よりも,この3曲の間には論理的関連性があって,一緒に弾かれることが望ましいと書かれていていたことを特記したいと思ったのです.

Among several major composing projects during his final months, Schubert wrote his last three piano sonatas. Working with intense focus, he completed the scores in September 1828, about six weeks before he died in delirium at 31.

He must have known that there would not be a ready market for these long, mercurial and complex works. Clearly he was driven to write them, and he conceived them as a set. Theorists have uncovered thematic links among the scores.

New York Timesのが絶賛しておりますが,私は昨年11月17日の演奏会についてのブログで,一度書いておりますので,特に訳出することは控えます.

ただ,A Composer’s Score For a Dance With Death という記事のタイトルには,深い共感を覚えます.

どうぞ,あとはご自由に,ご渉猟下さい.記事に内田光子さんの年齢がずばっと書かれていますが,なるべく早い機会に,再来日してまた名演を聴かせて欲しいと切に願うモノです.

 

 

Music Review

A Composer’s Score For a Dance With Death

Chad Batka for The New York Times

Mitsuko Uchida: The pianist performed Schubert’s last three sonatas in a concert at Carnegie Hall on Wednesday night.

In March 1828, the last year of his life, Schubert enjoyed a success with a public concert of his works in Vienna. He attracted the interest of publishers, but nothing much came of it. Before long he was again penniless and miserable. His health, which had been terrible since he contracted what was almost surely syphilis in his mid-20s, steadily deteriorated.

Among several major composing projects during his final months, Schubert wrote his last three piano sonatas. Working with intense focus, he completed the scores in September 1828, about six weeks before he died in delirium at 31.

He must have known that there would not be a ready market for these long, mercurial and complex works. Clearly he was driven to write them, and he conceived them as a set. Theorists have uncovered thematic links among the scores.

On Wednesday night the masterly pianist Mitsuko Uchida gave an overflow audience at Carnegie Hall (including some in stage seats) a rare chance to hear these last three sonatas, published after Schubert’s death, performed as a group. Ms. Uchida, who at 63 is among the most respected artists of our time, gave probing and magisterial performances.

She is renowned for the refinement of her playing. But as if to shake up preconceptions, she tore into the ominous opening of the first movement of the Sonata in C minor (D. 958), with its theme of assertive chords and scale passages that shoot across the keyboard. She played with crackling intensity and steely fortissimos.

Yet Ms. Uchida soon guided us through a mood shift to the eerily calm music of a long transitional section, where a fidgety melodic line spins out over rippling accompaniment, which she played with milky textures, letting dissonances blend into the harmonic haze. Her way with the Adagio kept you on edge: every time the tranquil theme seemed to settle into a contemplative mode, something terrifying would happen, like the pummeling triplet figures that drive the music through wayward harmonic realms.

On its surface the finale seems to be a dark, dancing tarantella, and Ms. Uchida conveyed its restless, brimming vigor. But without being a bit didactic, she brought out the crazed flights and harmonic discontinuities.

The next work, the Sonata in A (D. 959), is generally considered a noble piece and, in the scherzo, even fanciful. But hearing it in this context, and as played by Ms. Uchida, I was drawn to its dark side, which comes shortly after the stately opening theme, when a long transitional section is run through with a hammering short-long rhythmic figure.

And the Andantino, which starts like a forlorn song with a simple tune and accompaniment, evolves into an episode of wrenching torment and terror, all the more gripping here for the balance of sinew and sensitivity in Ms. Uchida’s playing.

The final Sonata in B flat (D. 960) is a work ideally suited to Ms. Uchida’s elegant artistic temperament. She brought exquisite shadings and wondrous serenity to the first movement. Yet the calm was deceptive, for just below the surface the ominous stirrings and fitful mingling of inner voices told a deeper story. And so the performance continued. You could detect the gremlins hovering over the high spirits of the scherzo and the restlessly energetic finale.

The ovation was tremendous. But Ms. Uchida played no encore. What could have followed these sonatas? In a larger sense, that truly was the question. Schubert was heading into some realm new for him, and for all of music. Just days before his death, he spoke to a friend of the “absolutely new harmonies and rhythms” running through his head.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

王子ホール:ポール・ルイス(pf)シューベルトの名演 [音楽時評]

この日はトリプッてチケットが3枚になってしまい,都響B定期のインバル,ブルックナー7番を5月の都響A定期に振り替え,トッパンのクン=ウー・パイクのベートーヴェンop.111のピアノ・ソナタは譲って,やはりポール・ルイスのシューベルト・チクルスを聴きに王子ホールに行って来ました.

前にも書きましたが,1972年,イギリス・リバプール生まれで,アルフレッドブレンデルの愛弟子として知られたポール・ルイスは,師匠譲りのシューベルト演奏では様々な賞賛を受けてきました.
そのルイスが40歳を前にして,シューベルト・チクルスを始めているのです.
なお,ルイスの最新アルバムは,テナーのマーク・パドモアと組んだシューベルト三大歌曲集ということです.そういえば,ブレンデルもフィッシャー・ディスカウとの「冬の旅」の名盤を残しています.

今夜のプログラムは,オール・シューベルトで,
16のドイツ舞曲と2つのエコセーズ Op.33, D783
アレグレット ハ短調 D915
ピアノ・ソナタ 第14番 イ短調 Op.143, D784
      ※※※※※※※※
ピアノ・ソナタ 第16番 イ短調 Op.42, D845
でした.

ルイスの特質は,楽曲のフレージングで常にアクセントをハッキリさせていることにあるように思います.それがシューベルトの楽曲の基底にある「歌心」を浮かび上がらせていると思われるのです.

「16のドイツ舞曲」は,シューベルトが親しい仲間たちとの集いで,皆で踊れるように作られたダンス音楽だといわれます.いずれも短い曲ですが,そのなかにシューベルトが盛り込んだ多彩さは見事というほかありません.エコセーズ2曲はスコットランド風舞曲です.

アレグレットは親友がヴェネツィアに赴任するときに別れを惜しんで献呈した小品です.

ピアノ・ソナタ第14番は,シューベルトにとって6年ぶりのソナタですが,その間に大作「さすらい人幻想曲」が書かれたということがあり,いっそう充実したソナタになっています.
3楽章構成ですが,第1楽章では第1主題,第2主題が長調に転調して,明朗に終わります.第2楽章は温和な主題による緩徐楽章,第3楽章は最後までイ短調で締めくくられます.

ソナタ第16番は良く聴かれる曲ですが,この作品から4楽章構成を取っています.
第1楽章 Moderato イ短調 ソナタ形式.両手の斉唱で開始し,このユニゾンが楽章全体を支配します.展開部で急速な部分が出現しますが短く終わり,主題を半音下げて再現しています.第2楽章 Andante con moto ハ長調変奏曲形式で,中間に遠隔調変イ長調の変奏を入れています,第3楽章 Allegro vivace-Trio:Un poco più lento イ短調 のスケルツオです.第4楽章 Allegro vivace イ短調 は明快なロンド形式調性転調が多く不安定ですが,最後に第1楽章の動機が加速して現れ,力強い和音で終わります.

全体を通して,シューベルトの創作力の高まりを感じさせる構成で,今後のチクルスの展開がいっそうの楽しみになりました.


 

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

日経ホール:チャイコン3位→落選ルビャンツエフ(p)リサイタル [音楽時評]

4月10日,日経ホールにルビャンツエフ・ピアノリサイタルを聴きに行って来ました.昨年のチャイコフスキー国際Competition で,その前の3位から,本選落ちしてしまったピアニストです. 

チャイコフスキー国際Competition を巡っては,これまで様々な噂がありました.
パイオニアが経費負担した年の日本人ヴァイオリニスト
ヤマハがピアノをCompetition 公式ピアノにした年の日本人ピアニスト,
etc.etc......とかくの噂があったのです.

しかし,昨年は,ロシア音楽界の巨匠ゲルギエフが総監督となり,審査員のほとんどを入れ替えて,公平を期したのです.
しかし,その前の審査員にとって,半ば暗黙の了解で前回3位を次にはもっと上位にするといったあやふやな了解でもあったようで,騒ぎになって,ナント批評家賞というのを貰ったのが,今夜のルビャンツエフです.

そして,今夜のプログラムは第1次予選から第3次予選までにルビャンツエフが弾いた曲を主体に並べたモノなのだそうです.本選落ちが不合理だったと理解されたいというのでしょうか.

私は,何よりも今夜のこうした企画に反対です.何故,本選前の予選段階のピアノ曲を並べたのでしょう.本選ではオーケストラとの協演で協奏曲が演奏されて優勝者が決まったのですから,予選段階の演奏曲を並べることにどれだけの意味があるのでしょう.
何故,もっと自由にプログラミングさせなかったのでしょうか.

昨年のピアノ部門優勝者はダニール・トリフォノフ,そしてアジアの年といわれたように,2位;ソン・ヨルム、3位;チョ・ソンジンだったのです.
トリフォノフの素晴らしさについては,昨年の日本公演についてのブログに書いたとおりです.彼はコンチェルトの外にリサイタルもやったのです.

また,今月23日には,
第14回チャイコフスキー国際コンクール優勝者ガラ・コンサート
曲目
チャイコフスキー:なつかしい土地の思い出
シューマン:幻想小曲集
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
ショパン: 12練習曲 op.10
出演 ダニール・トリフォノフ(Pf)、セルゲイ・ドガージン(Vn)、ナレク・アフナジャリャン(Vc)

4月27日(金)には,
曲目
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調
指揮  アンドレイ・ヤコヴレフ
出演 ダニール・トリフォノフ(Pf)、セルゲイ・ドガージン(Vn)、ナレク・アフナジャリャ(Vc)
演奏  モスクワ交響楽団

と,ピアノ,ヴァイオリン,チェロの優勝者3人の室内楽&ソロ・リサイタルと協奏曲演奏会が予定されているのです.

同じ4月に,何故,本選を逸したルビャンツエフに,こうした枠を嵌めたリサイタルを開かせたのでしょう.ロシアのもめ事に日本が同調してどうするのですか.アジアの年といわれたアジア人入賞者に向かって,日本は何を言おうとするのですか.
日経ホールは,昨年2位のソン・ヨルムを,6月26日にリサイタルに招いているではありませんか.
一方で反逆児を招きながら,他方で正当な2位を認めて招待するという感覚は無神経過ぎます.

今夜のプログラムは,
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 作品110
ラフマニノフ/エチュード「音の絵」 作品39-7*
ショパン/ノクターン 第13番 ハ短調 作品48-1
リスト/メフィスト・ワルツ 第1番「 村の居酒屋での踊り」 S.514*
       ※※※※※※※※
スクリャービン/ピアノ・ソナタ 第5番 嬰ヘ長調 作品53*
ショパン/ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58*
このうち*チャイコフスキー国際コンクール演奏曲
と余りにも多彩で無定見な並べ方でした..

驚いたのは,冒頭にベートーヴェンの晩年の傑作ピアノ曲の1つ,作品110番が演奏されたことです.これは,たいへん柔らかなピアノ・タッチで,なかなかの好演でしたが,本来なら,もっと後に弾いて欲しかったと思います.
ただ,前にも書きましたが,このホール,講演会や研修会用に使うことが考えられていて,絨毯が敷き詰められており,椅子はビロード張りが連なっているのです.従って音が吸収されやすく,残響が乏しいのです.
そのため,音が乾いて聞こえてしまい,おまけにピアノの高音部の調律が不十分だったようで,調律師が入る休憩前の曲,とりわけリストでは,高音部の響きに微妙に違和感がありました.

あと,最後のショパンのピアノ・ソナタ 第3番もなかなかの好演だったと思います.
しかし,もうひとつ注文を付けますと,この人は,1曲ごとに拍手を受けても袖に引っ込まず,直ぐ,次の曲に移ってしまうのです.つまりベートーヴェンの余韻を楽しむ余地を与えませんでしたし,いきなり別人の曲になって,聴衆が直ぐにその曲に身を委ねる余裕を与えなかったことです.それは大きなマイナスだと思います.

要望としては,確かにチャイコフスキー3位の演奏テクニック,作品解釈の実力があり,将来の伸び代も豊かに備えているのですから,本選に進めなかった巡り合わせの悪さの後を引きずらず,演奏会はきちんと自主的にプログラミングし,ステージマナーについて,もっと大家を見習うことです.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

トッパンホール;ヘルムヘン,エーベルレ,石坂トリオ [音楽時評]

4月9日,トッパンホールに,マーティン・ヘルムヘン(pf),ヴィロニカ・エーベルレ(vn),石坂団十郎(cello)のトリオを聴きに行って来ました.

3人ともトイツ生まれのドイツ育ちで,へルムヘンは2001年クララ・ハスキル優勝歴し,世界的なオーケストラとの協演歴を重ね,NHK交響楽団にも2度招かれている期待の若手です.
エーベルレは,コンクール歴はないのですが,この人も欧米の有名オーケストラとの協演歴を重ねており,NHK響とも2度協演している期待の若手です.
石坂団十郎は,父親が日本人,母親がドイツ人で,ドイツ生まれ,2001年ミュンヘン国際,フォイアーマンCompetition に優勝し,ヨーロッパの主要オーケストラとの協演,NHK響とも協演している若手の才人です.

弦楽器は,2人とも,日本財団からストラディヴァリを貸与されており.ヴェロニカが1700年作の「ドラゴネッティ」、団十郎が1696年作の「ロード・アイレスフォード」です.

この3人がトリオを組んで来日したのですが,トリオはクァルテットと違って,3人が比較的自由に弾けば良いのですから,随時,適切な組み合わせで楽しめる組み合わせである点に特徴があります.

今回の来日が初めての3人の共演だそうで,大分,熊本,福岡,東京トッパンでトリオ出演,あと,ノリントン指揮のNHK響にベートーヴェンのトリプル協奏曲で出演予定です.

ドリオのプログラムは,
ハイドン:   ピアノ三重奏曲 ハ長調 Hob.XV-27
ブラームス:  ピアノ三重奏曲 第3番 ハ短調 Op.101
          ※※※※※※※※
シューベルト: ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 D898 Op.99
でした.

九州で既に3回同じ曲目で共演を重ねてきたのですから,全開のピアノがやや強く響いていたほかは,誠にありがとうございます.見事なトリオ演奏でした.

ハイドンは急ー緩ー急の3楽章構成で,この曲ではとりわけピアノが前面にでていましたが,それは大きくはピアノが未だ金属弦を鳴り響かせる楽器でなかった故だと思われます.弦はやや控え目でしたが,ストラディバリは誠に優美な音を響かせていました.

ブラームスでは,急ー急ー緩ー急の4楽章構成ですが,ほぼ現代楽器に近付いたピアノとの組み合わせですから,ヴァイオリンもチェロもよくバランスしていました.
急ー急ー緩ー急の4楽章構成ですが,あまり短調を感じさせない華やかさを持った曲調です.特に緩徐楽章はハ長調の明るい曲調で,3人によって美しく演奏されました.続くフィナーレも昂揚して終わりました.

シューベルトの三重奏曲は短命だった作曲者の最晩年に作曲されたと考えられ,ピアノの名曲ピアノソナタ第19番第20番第21番や名作「冬の旅」と相前後して書かれたと推定され,演奏に約40分を要する大作です.
急ー緩ースケルツオ(急)ーロンド(急)の構成です.ピアノの刻みの上に,ヴァイオリンとチェロが朗朗と歌う第1楽章から斬新さを印象づけ,第2楽章でも初めチェロ,続いてヴァイオリンが優美に歌って聴かせます.第3楽章で初めてピアノが主導していますが,終楽章ではヴァイオリンが歌い出して始まり明るさのうちに終わります.
この曲で,3人がたいへん伸びやかに共演,好演してくれました.

とにかく,これだけの若き才能が揃って,たいへん充実した三重奏曲を伸びやかに好演してくれたことが強く印象に残りました.

この3人を是非にも聴いてみたい方には,4月14,15日のNHK交響楽団との協演,ベートーヴェンの名曲,トリプル協奏曲をお薦めします.


 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

東京春音楽祭:ブラームスの室内楽~堀米ゆず子と仲間たち~ [音楽時評]

4月7日,マチネーからアンコールを聴かずに移動して,辛うじて5分遅れでソワレ開演前に座席に着けました.

出演者は,
ヴァイオリン: 堀米ゆず子
ヴィオラ:    ロジャー・チェイス
ピアノ:     津田裕也
でした.
ロジャー・チェイスはロンドン生まれの名手で,ソリストとしての世界的な活躍の外,ナッシュ・アンサンブルなど室内楽活動おも活発に行っているそうです.

プログラムは,オール・ブラームスで,
ヴィオラ・ソナタ 第2番 変ホ長調 op.120-2
ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 op.108
      ※※※※※※※※
ホルン三重奏曲 変ホ長調 op.40(ヴィオラ版)
でした.

最初のヴィオラ・ソナタは,最初はクラリネット用に書かれた作品ですが,後に,ブラームス自身によって,ヴィオラ版への編曲が行われた作品です.チェイスは伝説の名器モンタニアーナを使っているそうです.

最初のヴィオラ・ソナタはなかなかの絶品と言って良いほどの名演でした.朗朗と響くヴィオラの麗美な音の響きに圧倒されました.

ヴァイオリン・ソナタ第3番は,ブラームス最後のヴァイオリン曲ですが,久し振りに聴く堀米ゆず子さんの名演にうっとりする程でした.

最後のホルンをヴィオラに持ち替えたホルン三重奏曲は,ブラームスもこの持ち替えを認めていたといわれます.そもそも柔らかな音響のナチュラル・ホルンのために書かれたモノですから,ヴィオラの持ち替えに異存はなくて当然だと思われました.
事実,チエイスの美しい音量十分なヴィオラ三重奏は,緩ー急ー緩ー急の4楽章構成の曲をたいへん伸びやかに好演してくれました.
アンコールに,この三重奏曲の第2楽章が再演されましたから,ややゆったりした中間部を含むテンポの早い楽章が,印象に残りました.

堀米ゆず子さんが構成して実現した室内楽と思いますが,来年も又,素晴らしい構成の室内楽演奏会を期待したいモノです.

 

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

東京春音楽祭;N響メンバーによる弦楽四重奏 [音楽時評]

4月7日,マチネーで,東京音楽祭の一環として国立科学博物館日本館講堂で開かれた「N響メンバーによる弦楽四重奏~オール・ベートーヴェン・プログラム~を聴きに行って来ました.

近年,毎年楽しみにして行っているコンサートですが,今日は残念ながらあまり楽しめませんでした.
チェロが,これまでになく,高音弦と低温弦で音色が変わり,とりわけ,低弦を含む重音が濁ってしまい,弦楽四重奏のアンサンブルを損なっていたからです.音響は強く響いていましたから,もう少し,音量を絞った方が良かったのではないでしょうか.

メンバーは,
第1ヴァイオリン:山口裕之 N響コンサートマスターで第2ヴァイオリンの首席
第2ヴァイオリン:宇根京子
ヴィオラ:     飛澤浩人 次席
チェロ:       藤村俊介 次席
で,前は次席代行だった人が,次席に昇格していました.

プログラムは,オール・ベートーヴェンで,
弦楽四重奏曲 第5番 イ長調 op.18-5
弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 op.95
     ※※※※※※※※
弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 op.131
でした.

先日,同じ東京春音楽祭で,東京文化会館小ホールでアミーチ弦楽四重奏団が,やはりオール・ベートーヴェン・プログラムで前期,中期,後期を聴かせてくれましたが,今回も前期,中期,後期から各1曲でした.有名曲ばかりですから内容には立ち入りません.

演奏内容ですが,アミーチは第1ヴァオリンの荒さが気になったのですが,今日は,いつも4つの楽器の音が聞こえてくるという意味では従来通り良かったのですが,チェロが楽器を変えたのかどうか知りませんが,低弦の音色が高弦と異質になっていて,とりわけ重音で加わるとアンバランスになり,アンサンブルを損なっていました.

チェロの音が相対的に大きく鳴りすぎていましたから,来年春には,少し抑制することを期待したいと思います.
山口さん,宇根さん,飛澤さんは,たいへんよくバランスしていたと思われますから,チェロの音の濁りとアンバランスがすごく残念でした.

 

 

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Esa-Pekka Salonen Conducts Juilliard Orchestra [音楽時評]

When Esa-Pekka Salonen was the music director of the Los Angeles Philharmonic, New Yorkers heard him in concert mostly when he toured the East Coast with his orchestra. Toward the end of his tenure there, and after he gave up the post in 2009, he turned up more frequently as a guest conductor.

と,Esa-Pekka Salonenは,New York をたびたび訪れていたのですが,もっと作曲に時間を割きたいということで.特に,because he prefers to spend his time composing now (and profitably: he won the $100,000 Grawemeyer Award for his Violin Concerto this year), he seldom visits.作曲で十分な報酬を得られるため,彼は滅多にNew York に現れなくなっていたのですが,そのSalonen がJuilliard Orchestraを指揮して,1時間の無料コンサートをやるというので,長い行列が出来たそうです.

しかし,they are here mainly for pedagogical purposes and only secondarily for the listeners. だったので,多くは入れなかったようです.

曲は2曲だけで,Sibelius’s “Pohjola’s Daughter” and Beethoven’s Seventh Symphonyだったそうですが,his decision to focus on only two works paid important dividends.
と集中して好演したようです.

Sibelius では,Mr. Salonen’s picturesque, often tumultuous account, with its electrifying accelerandos, carefully sculpted woodwind lines and polished but hefty brass playing, captured the score’s heroic qualities and made its wrenching conclusion palpable. You could almost believe that the Juilliard players had this music in their blood, as Mr. Salonen, who is Finnish, clearly does. And Hirotaka Matsuo, the principal cellist, was particularly striking in the score’s prominent solo passages
と日本人チェリストHirotaka Matsuo の好演を含めて絶賛されています.

Beethoven の交響曲第7番についても,The Beethoven was equally gripping, an essay in opulent string sound, singing woodwinds and punchy, precision brass figures, all molded into a grand, furious explosion of early Romanticism. Mr. Salonen’s dynamic manipulations — shifts from forte to a whispered pianissimo, on repeats, for example — may have seemed momentarily extreme, but they gave the music a clear narrative shape. And you could not have wanted the Presto or the finale to be either speedier or more perfectly balanced, a difficult combination to achieve but one that Mr. Salonen and these players made to seem easy.
と,とにかく素晴らしい演奏会だったようです.

Salonen は日本にも,近年は,キャンセルを含めて,ほとんど来ていませんが,出来れば機会を作ってぜひ来て欲しいモノです.

 

 

Music Review

An Infrequent Visitor With Students in Tow

Esa-Pekka Salonen Conducts Juilliard Orchestra at Tully Hall

Ruby Washington/The New York Times

Juilliard Orchestra Esa-Pekka Salonen conducting the ensemble at Alice Tully Hall on Tuesday in a program of Sibelius’s “Pohjola’s Daughter” and Beethoven’s Seventh Symphony.

When Esa-Pekka Salonen was the music director of the Los Angeles Philharmonic, New Yorkers heard him in concert mostly when he toured the East Coast with his orchestra. Toward the end of his tenure there, and after he gave up the post in 2009, he turned up more frequently as a guest conductor.

But because he prefers to spend his time composing now (and profitably: he won the $100,000 Grawemeyer Award for his Violin Concerto this year), he seldom visits. His only New York appearance this season was on Tuesday evening, when he led the Juilliard Orchestra in an hourlong concert at Alice Tully Hall.

You could hardly complain about the brevity of the performance. For one thing the tickets were free, and a long line of prospective listeners snaked down 65th Street hoping to get a ticket. But though the conductors who work with the Juilliard School’s fine student ensembles often attract big audiences, they are here mainly for pedagogical purposes and only secondarily for the listeners. Judging from the high-energy performances of Sibelius’s “Pohjola’s Daughter” and Beethoven’s Seventh Symphony that Mr. Salonen drew from these young players, his decision to focus on only two works paid important dividends.

The Sibelius, a dramatic 1906 tone poem based on a story from the “Kalevala,” Finland’s national epic, is scored in lustrous, if sometimes ominous hues and demands a thoroughly fluid approach to tempo. It describes an episode in the voyage of the sage Vainamoinen, in which he becomes smitten with Pohjola’s daughter but loses her when he fails, despite his own supernatural powers, to accomplish the tasks she sets for him.

Mr. Salonen’s picturesque, often tumultuous account, with its electrifying accelerandos, carefully sculpted woodwind lines and polished but hefty brass playing, captured the score’s heroic qualities and made its wrenching conclusion palpable. You could almost believe that the Juilliard players had this music in their blood, as Mr. Salonen, who is Finnish, clearly does. And Hirotaka Matsuo, the principal cellist, was particularly striking in the score’s prominent solo passages.

The Beethoven was equally gripping, an essay in opulent string sound, singing woodwinds and punchy, precision brass figures, all molded into a grand, furious explosion of early Romanticism. Mr. Salonen’s dynamic manipulations — shifts from forte to a whispered pianissimo, on repeats, for example — may have seemed momentarily extreme, but they gave the music a clear narrative shape. And you could not have wanted the Presto or the finale to be either speedier or more perfectly balanced, a difficult combination to achieve but one that Mr. Salonen and these players made to seem easy.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Emerson String Quartet がBeethoven op.130&133 [音楽時評]

Beethoven は,String Quartet op.130 を,最初は,終楽章に“Grosse Fuge” を置いていたのですが,その長大さが受け入れられず,平板な Finale を書いて置換したのでした.

しかし,この現代音楽に通ずる“Grosse Fuge”を後にop.133として独立させたばかりか,同じ曲のピアノDuo版を書いて,ピアノ作品最後のop.134 としたのです.

有名なEmerson String Quartet が,Alice Tally Hallでの演奏会で,プログラム前半にop.130 の終楽章だけを演奏し,後半に,op.130+133 の形で,オリジナルなop.130を演奏したそうです.

演奏会では,
Mozart’s Adagio and Fugue in C minor (K. 546).
Mozart’s String Quartet in B flat (K. 589, “Prussian”)
Beethoven’s well-behaved alternate finale to Opus 130
      ※※※※※※※※
Beethoven's op.130 with Grosse Fuge
の形で演奏されたそうです.

Stravinsky, a fan of the “Grosse Fuge,” described it as an “absolutely contemporary piece of music that will be contemporary forever.と賞賛していたといわれます.

The sharp edges of the fugue are preceded by the haunting Cavatina, one of the most beautiful movements in the chamber repertory, performed here with heartfelt poise and expressive commitment.

と評しているように,室内楽のレパートリーの中で,最も美しい楽章といわれる”Cavatina”が前に置かれることで,その夜の演奏会は素晴らしかったと高評しています.

 

Music Review

String Quartet Classics With Alternative Endings

Emerson String Quartet at Alice Tully Hall

Like a rebellious teenager told to get a more conservative haircut, Beethoven was asked to replace the “Grosse Fuge,” the spiky final movement to his String Quartet in B flat (Op. 130), with something less radical. He grumbled but eventually agreed, substituting an easygoing finale for the original, whose cacophonous thickets had disturbed 19th-century listeners.

The “Grosse Fuge” was later published separately as Opus 133. Some contemporary ensembles perform the quartet with the original, while others use the sunny substitute. At its concert on Wednesday evening at Alice Tully Hall, the Emerson String Quartet offered both: playing the alternate ending by itself in the first half of the program and the “Grosse Fuge” with the Opus 130 quartet after intermission.

The concert, the second in a series of three exploring the late quartets of Mozart and Beethoven, opened with Mozart’s Adagio and Fugue in C minor (K. 546). Mozart, who studied Bach’s contrapuntal techniques, wrote arrangements of some of his fugues for Sunday afternoon gatherings at the Vienna home of Baron Gottfried van Swieten, a diplomat and musical connoisseur. Mozart also composed a few original fugues, like the somber K. 546, which received a soulful and suitably dark-hued rendition here.

Next came Mozart’s String Quartet in B flat (K. 589, “Prussian”), given a polished but not particularly involving interpretation, which lacked the essential warmth inherent in such a genial work. The lighthearted mood continued with Beethoven’s well-behaved alternate finale to Opus 130, a Haydnesque piece as gracious and airy as the “Grosse Fuge” is dense and severe.

Stravinsky, a fan of the “Grosse Fuge,” described it as an “absolutely contemporary piece of music that will be contemporary forever.” Even on repeated hearings, its angular edges and jarring counterpoint still sound revolutionary, as they did in the Emerson’s vigorous rendition.

The sharp edges of the fugue are preceded by the haunting Cavatina, one of the most beautiful movements in the chamber repertory, performed here with heartfelt poise and expressive commitment.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

武蔵野文化小ホール:ヴィットマン(vn)の個性的名演 [音楽時評]

4月2日,武蔵野文化会館小ホールに,カロリン・ヴィットマンの無伴奏ヴァイオリンリサイタルを聴きに行って来ました.

最初に書いてしまいますと,ヴィットマンは希に見るヴァイオリンの名手で,今夜のリサイタルは素晴らしい名演奏でした.
武蔵野文化会館の聴衆への貢献は,時々,日本では無名でも欧米では高く評価されている人を発掘して聴く機会を提供してくれることです.今夜がまさにそうでした.念のために付言しますと,今夜は久し振りに,プログラムの4枚目に,簡潔な曲目概要が掲載されていました.

ヨーロッパ屈指の名手,ロンドン交響楽団、ケヴァントハウス管弦楽団、フランス国立管と協演,ザルツブルグ音楽祭、ルツェルン音楽祭など世界の音楽祭に次々出演,ドイツ音楽伝統の正当なる継承者・・・・・等の賛辞が紹介文に並んでいますが,1976 in München生まれで,ケルンで学び,さらにボストン,ロンドンで学んだ人です,シャリーノの音楽を英語でヴィオリンを弾きながら解説してくれましたが,英語は誠に堪能でした.

Beyond her work as a soloist, Carolin Widmann has been a professor for violin on the faculty of the Felix Mendelssohn-Bartholdy conservatory in Leipzig since October of 2006. She also holds the artistic direction of Germany's oldest chamber music festival, the Sommerliche Musiktage Hitzacker.と紹介されています.

プログラムは,
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz117
シャリーノ:ヴァイオリンのための 6 つのカプリチオ
     ※※※※※※※※
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
でした.

前半は,ステージ上に譜面台を3つ並べて,その3つに広げられる譜面を持参してのステージでした.念のためにいいますと後半は暗譜演奏でした.

この人は完璧なテクニックの持ち主で,同時に,極めて個性的で美しく音楽を表現する才人でした.使用楽器は,Carolin Widmann plays a G.B. Guadagnini violin from 1782 とあるのですが,このガダニーニがまたすごく音量豊かで美音でしたから,そのppからff の音域が広くて,それだけ表現力が素晴らしく豊かでしたし,超絶技巧を駆使しても,音が常に美しく響いて,まったく濁ることがありませんでした.

バルトークの無伴奏ソナタは,作曲者がアメリカに亡命して,メニューインの善意の依頼で書かれたモノですが,ヴァイオリンを十分には理解していなかったことから,却って大胆な作曲になっており,新しいヴァイオリンの可能性を生み出した作品です.
Ⅰ.Tempo di ciacccona,Ⅱ.Fuga,Ⅲ.Melodia, Ⅳ.Presto の4楽章構成ですが,実に変化に富んだ名作を,緊張感を漲らせて,美麗な音で名演してくれました.私にとっては,この作品を聴いた中の最高の演奏でした.

シャリーノは,個性的な演奏技法を生み出すのが得意な現代作曲家ですが,ヴィットマンは現代作品に強い関心を寄せており,この超絶技巧を要する難曲6つのカプリッチョを,こともなげに完璧に弾きこなして聴かせてくれました.時に左手だけで継続音を出したり,弓を上下ではなく横に激しく動かして音を出すといった難曲を,完璧に,しかも美しく聴かせてくれました.

バッハの無伴奏バイオリン・パルティータ第2番はたいへん有名なシャコンヌが終曲に含まれる作品で,Ⅰ.allemande,Ⅱ.Courante,Ⅲ.Sarabennde,Ⅳ.Giga,Ⅴ.Ciaconna, の構成ですが,ここではきわめてオーソドックスに,端正に,有名なシャコンヌの入り方も,持って回ることなく,かなり早めのテンポであっさりと入って,しかもこれぞドイツのバッハといった素敵な演奏に終始しました.
なお,各楽曲間で,30秒ほどの間を取っていたのが強く印象に残りました.

まったく素晴らしい名演でしたから,ぜひまた来日して名演を聴かせて欲しいモノです.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽
前の30件 | -
メッセージを送る