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アリオン・アフタヌーン・コンサート:マンデルリング・クァルテット [音楽時評]

9月11日の午後,14時から,津田ホールでマンデルリング・クァルテットを聴いてきました.

マンデルリング・クァルテットを聴くのは初めてでしたが,きわめてレベルの高いクァルテットでした.

プログラムは,
F.J. ハイドン:     弦楽四重奏曲 第81番 ト長調 op.77-1
D.ショスタコーヴィチ: 弦楽四重奏曲 第7番 嬰へ短調 op.108
※※※※※※※※
L.v.ベートーヴェン:  弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 op.130
でした.

津田ホールはシューボックス型で,卵形の第一生命ホールなどより格段に音が良いのですが,このクァルテットは音がまことに美しく,しかもまことに綺麗なアンサンブルを響かせる超一流のクァルテットと考えられます.

ハイドンのこの晩年の曲は,第1,第4楽章がいずれも第1主題に重きを置いたソナタ形式,第2楽章も深みのある単一主題,第3楽章はかなり早いメヌエットといったかなりしっかりした構成ですが,マンデルリングはそれを見事に浮かび上がらせてくれました.

ショスタコーヴィッチの第7番は,亡妻を悼んで作曲されたそうですが,3つの楽章が続けて演奏され,哀切をたたえた,リズム感の明瞭なまことに内容の濃い曲ですが,マンデルリングは,まことに鮮やかにこの曲を好演してくれました.

圧巻だったのはベートーヴェンの第13番で,この6楽章を持った作曲者晩年の傑作を,まことに誠実に,構成をくっきりさせながら,美しいアンサンブルで聴かせてくれました.
特に,有名な第5楽章「カバティーナ」の叙情的アリアの非常に美しい旋律を美し過ぎるほどに演奏してくれましたが,
今年解散したアルバンベルグに匹敵するものでした.
第6楽章終曲も沸き上がるようなリズムを持った快活な主題の楽章もまことに鮮明に演奏されました.

これほど見事な外来クァルテットは,アルバンベルグやウイーンに並ぶものとして,次の来日が大いに期待されます.

最後に当日のプログラムについてですが,幸松肇が監修したプログラムには曲名だけで,楽章構成も,各楽章のスピード表示もなかったのにはたいへん失望し,大きな不満を持ちました.
また,この人は元来が独りよがりの文章で分かり難いのですが,特に,ベートーヴェンの第3楽章に,「童話的気分のマーラー風のメロディが中心に歌われる」というくだりがあり,いったい何をいっているのだろうと不思議にさえ思われました.マーラーなど知るよしもないベートーヴェンの解説にマーラーを持ち出すこと自体可笑しいのではないでしょうか!!!
第6楽章の解説も傑作です.「これはギャロップの精神が昇華した,ソナタ形式による類稀な舞踏の聖化だといえよう」
とあるのですが,「ギャロップの精神が昇華した」も「舞踏の聖化」もいったい何をいいたいのでしょう!!!

次にマンデルリンク弦楽四重奏団が来日する時は,もっと若手で誠実な人の解説を切に期待します.
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shoshino

皮肉混じりのコメントをどうも.
スピード表示は,楽章構成,楽曲構成を示す重要な指標ではありませんか?
私はN響のプログラム・ノートが,かつてプログラムというより今回と同様楽曲名だけを書いた日程に均しかったことがあり,修正を求めたことがあります.

楽章構成を書けば,楽章ごとのスピード指定を書かざるを得なくなり,聴衆はそれを見ただけで楽曲の構成をある程度理解できますが....!
by shoshino (2008-09-12 11:23) 

いもがす。

今頃コメントさせていただきます。すみません。
この記事を読んで、とても嬉しくなりました。
マンデルリングカルテットは、同門なのです。
彼らは私の少し先輩に当たりますが、師匠を通して何度かお会いして、
コンサートにもよく聴きに行ったものでした。
ヨーロッパでは競争の激しいカルテット界ですが、そんな中で、
彼らが日本デビューを果たし、そして、高い評価を得たということが、
自分のことのように嬉しいです。
それから、彼らのコンサートをここで取り上げて下さったこと、嬉しく思います。
今後の活躍も期待しています。
by いもがす。 (2009-10-12 06:44) 

shoshino

いもがすさんへ
コメントとナイスをありがとう存じました.
マンデルリング.カルテットと親しくしておられた由,やはりドイツは音楽環境に恵まれていますね.
最近,河村尚子さんのピアノにたいへん感心しているのですが,ドイツに5歳から住んでおられる由で,今年,紀尾井ホール・デビューで高く評価されていました.
ロータスは今年は来日なしですが,来年マンデルリングと一緒に来て八重奏でも弾いていただけると嬉しいですね.


by shoshino (2009-10-13 03:20) 

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