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オーチャードホール:N響定期;イシイ=エトウ指揮小菅優ピアノ [音楽時評]

7月8日,渋谷オーチャードホールに,NHK交響楽団オーチャード定期を聴きに行って来ました.小菅優がピアノ・ソロに入って,シューマンのピアノ協奏曲がプログラミングされていたからです.というのも,今年に入って,河村尚子に対するよりも小菅優に一段と関心が高まったということがあります.
それは,その計画的なキャリア形成の点で,小菅優が,一歩,二歩と河村尚子よりも先んじていることに気づかされたからです.

出演者は,
指揮:  キンボー・イシイ=エトウ(2010年からドイツ・マグデブルグ歌劇場音楽監督)
ピアノ:  小菅優
オーケストラ: NHK交響楽団 
コンマス;    篠崎史紀
でした.

プログラムは
ドビュッシー:  小組曲(H.ビュッセル編)
          第1曲,「小舟にて」,第2曲,「行列」,第3曲,「メヌエット」,第4曲,「バレエ」
シューマン:   ピアの協奏曲 イ短調 作品54
      ※※※※※※※※
ベートーヴェン: 交響曲 第7番 イ長調 作品92
でした.

プログラムに,小菅優のインタビューが掲載されていましたが,彼女はたいへん謙虚に次のように述べています.
「シューマンは自分のレパートリーの中心です.協奏曲は何度も弾いています.すごく愛情の籠もった曲で,クララへの思いが伝わってきます.これまでいろいろな指揮者の方のアドバイスを取り入れたり,いろんな実験をしたりして,私の演奏も変化しています.今回は初めて協演させていただく指揮者なので,どういうシューマンになるか楽しみです.シューマンのピアの協奏曲は,第1楽章の中間部とか,管楽器との対話が多いので,N響の素晴らしい音楽家の方々とじっくりリハーサルをして,室内楽的な面を楽しみたいと思っています.」
「聴衆が音楽を作るみたいなところがあって,お客様がどうかは弾いている側にも伝わってきます.それによって私の弾き方も変わります.それが楽しみです.」

私は,自分で人違いかと思ったのですが,今日小菅さんを見て,彼女とは,一昨日,王子ホールで同じエレベーターに乗り合わせたように思います.彼女は,それだけ優れた演奏会からは何かを吸収しようと合間を縫って通っているようです.
彼女はミュンヘン在住ですが,そこでの「コンサート(オペラを含む)通いはすごく楽しいです」と語っています.それでいて,彼女は,「日本人の要素も大事だと思います....それは,繊細で美しいモノを大切にする誠実で真っ直ぐな姿勢を持っています.自分のパーソナリティにも日本的な面が入っています.」

そんなところが,私が小菅優の将来性を高く評価する理由になっています.

ドビューシーは,初期の古典的な作品で,オリジナルにはピアノ連弾(4手)のための曲であったモノを,ビュッセルのオーケルトレーションで演奏されました.
全体にたいへん頼もしく感じました.優美な音楽で,第1,第2曲でのフルートの美しさが印象的でした.

シューマンは,
ⅠAllegro affettuoso,ⅡIntermezzo;Andantino grazioso,ⅢFinale;Allegro vivace の3楽章構成ですが,最初は1楽章の幻想曲だったものが,拡充して協奏曲構成になったモノです.
第1楽章では,オーケストラの強奏で入り,ピアノがリズミックで強烈な序奏を奏で,オーボエのロマンティックな第1主題提示がピアノに引き継がれ,第2主題がクラリネットによって導入されます.作曲者自身によるなかなか技巧的なカデンツァが入り,コーダでは木管楽器が主題を繰り返します.
第2楽章は,ピアノとオーケストラの優しい語らいで始まり,中間部でチェロがロマンティックな旋律を歌い,終結部では木管楽器による第1楽章の主題が断片的に回想され,そのまま終楽章に入ります.
終楽章ではピアノが第1主題を提示し,第2主題は管楽器による軽快な音楽となり,管弦楽とピアノが時にオブリガートを互いに務める凝った構成の後,終結はピアノのトッカータ的演奏と打楽器とが曲想を盛り上げて華麗に終わります.
小菅優も大変な名演で.今後に向けてたいへん頼もしく感じました.
なお,小菅優がアンコールを弾いて呉れましたが,リスト編曲によるシューマンの「献呈」だったと思います.

ベートーヴェンの交響曲7番は,「のだめ」で余りにも有名になりましたが,1カ所ホルンが大きくミスったところを別にして,リズムの権化といわれる大曲を,大いに盛り上げて終わりました.

とにかく小菅優の将来性に大いに期待を持たせる演奏会でした.


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