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フエスタ・ミューザ川崎2012東京交響楽団,指揮ウルバンスキー,アブドゥライモフ(p)の名演 [音楽時評]

今日は川崎の昭和音大テアトロ・ジーリオ・ショウワへフエスタ・ミューザ川崎2012フィナーレ公演を聴きに行って来ました.
先日の新日フィル,山田和樹の物足りなさを吹き飛ばすような,今年一番の名演を聴くことが出来ました.

指揮のクシシュトフ・ウルバンスキーは1982年ポーランド生まれ(山田和樹は1979年生まれ),ヨーロッパの有名オーケストラベルリン・フィルに2014年5月予定)から次々に招かれている俊英で,来年4月から東京交響楽団の首席客演指揮者に就任予定だそうです.

ピアノのベフゾド・アブドゥライモフは1990年ウズベキスタン生まれ(22歳でしょうか),2009年にロンドン国際ピアノ・コンクール第1位という入賞歴の持ち主です.

プログラムは,ミューザ・フイナーレに相応しく,名曲それも大曲2曲で,
チャイコフスキー: ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
      ※※※※※※※※
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 作品47
でした.

チャイコフスキーの協奏曲は,最初,ルビンシュタインに草稿を送りアドヴァイスを求めたそうですが,貧弱な作品で演奏不可能であると酷評されたので,代わって,ピアニスト・指揮者のハンス・フォン・ビューローへ献呈され,そのピアノ協奏でアメリカ,ボストンで初演されています.
ロシアでは,サンクト・ペテルブルグに続いて,モスクワで,ルビンシテイン指揮、セルゲイ・タネーエフのピアノによって演奏され,その後は,ルビンシュタインの重要レパートリーになったといいます.
ただ,曲は,1879年の夏および1888年の12月に2度にわたって改訂されています.
Allegro non troppo e molto maestoso - Allegro con spirito/Andantino semplice - Prestissimo - Quasi Andante/Allegro con fuoco の3楽章構成です.第1楽章冒頭の壮麗な序奏は,その後2度と再登場することはなく,ベートーヴェンの「皇帝」協奏曲に類似しています.第2楽章は簡素なアンダンテで始まりますが,むしろテンポを早めた中間部でピアノの高い技巧が発揮されています.第3楽章では,第1楽章序奏のテンポが,この中間部で再現されコーダに至るので,曲に一体感が高められて終わります.
とにかく構成感豊かな演奏で,たいへんな好演でした.
アブドゥライモフは3度目にステージに戻ったときに,アンコールにゆったりした鮮麗なメロディを奏でてくれましたが,曲名は分かりませんでした.

とにかく驚くほど緻密な演奏が展開されて聴衆を感動させたのがショスターヴィチの第5交響曲でした.この曲は比較的良く聴く曲ですが,私が名演として記憶しているのが,アシュケナージ指揮フィルハーモニア菅のLondon Royal Festival Hall での演奏ですが,今日のウルバンスキーの指揮はそれに迫るまことに見事な演奏でした.
Moderato - Allegro non troppo/Allegretto/Largo/Allegro non troppo の4楽章構成です.一見,緩-急-緩-急の構成ですが,各楽章が複雑な表情を交差させながら,調性の変化やリズム,テンポの変化など,表の顔と裏の顔など入り組んだ構成になっています.

スターリン体制に強く批判され,それに応えて書いた曲ですが,初演時には,フィナーレの途中から興奮した観客が自然に立ち上がり、終わると猛烈なスタンディングオベーションとなり、「荒れ狂ったような喝采を送り,みな、次のようなフレーズを繰り返したといいます.『(プレッシャーに)答えた。立派に答えた.』 ショスタコーヴィッチは下唇を噛みながら舞台に現れましたたが,泣いているかのようであった」(シャポーリン夫人)と証言されたような騒ぎとなり,かえって体制への抗議活動と見なされることを恐れた関係者の機転で、作曲者は裏口から脱出したといいます.
しかし,体制側はむしろこの作品を歓迎し、ショスタコーヴィチは体制下で生き延びることになったのだといわれます.

そうした背景を持った曲ですが,古典的なスタイルで書かれたこともあって,比較的,理解しやすい曲で,とくに終楽章では行進曲風のリズムに乗って,爆発的なエネルギーが解放されて壮麗に曲を閉じます.

この曲のテンポ指定については議論が分かれているのですが,ウルバンスキーは.かなりハッキリと緩-急-緩-急のテンポで,各楽章ごとにメリハリをハッキリと付けて,たいへん緻密なしかし分かりやすい指揮をしていました.小澤征爾のようなボディ・ランゲージは一切とらず,両腕だけの指揮で,とくに左腕の管楽器,打楽器への細かな指示は聴衆からもそれと分かりやすいモノでした.
全般に,多少音程が狂うことなど恐れずに,打楽器,金管楽器,木管楽器と五弦を見事なまでに良く鳴らさせてバランスを改善し,全体のバランスの上にオケを一杯に鳴らしていたのが印象的でした.コントラバスとチェロが滅多に聴かないほど精一杯の音を出して,五弦のバランスを支え,それによって五弦と金管,木管,打楽器のバランスがきわめて良く整えられていたのです.
それはとりわけ終楽章の高揚する部分で一段と際立っており,見事なフィナーレを作り出していました.

この若さで良くここまでと思わせる見事な指揮だったことを強調しておきたいと思います.

幸い,来年からは首席客演指揮者に就任するそうですから,また若々しい彼を聴けるのが大いに楽しみです.

 

 


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